中東・北アフリカ地域(MENA)の経済を分析する世界銀行の「中東・北アフリカ地域経済モニター」最新版は、同地域のGDP成長率が、2015年、2016年を通じて3.1~3.3%のまま横ばいで推移するだろう、と予測している。一部の国で長引く紛争と政治不安、石油輸出国の成長の足かせとなっている原油安、そして遅々として進まない改革などがいずれも、投資低迷、高失業率、そして地域全体で4年ぶりの赤字転落の要因となっている。
経済見通しには国によってばらつきがある。「域内諸国の3分の1を占める石油輸入国は、2015年には約4%の成長が見込まれる。その背景には、原油安だけでなく、特にエジプトとモロッコなどで見られる政策改革がある。」と、世界銀行のハーフェズ・ガーネム副総裁(中東・北アフリカ地域総局)は述べている。
一方、石油輸出国の景気は急速に冷え込んでいる。イラクやリビアなど紛争が泥沼化した国は、今年、マイナス成長となる可能性がある。湾岸協力理事会(GCC)の加盟国では今年、原油安のために、加盟国のGDP合計の14%に相当する約2,150億ドルの損失が予測されている。ただしイランだけは、核開発をめぐる交渉が4月初旬に合意に達し、経済制裁の全面解除が実現すれば、成長が加速し、2016年の成長率も5%に達すると予測される。
同地域の過去4年間の景気低迷は、若者や女性を中心とする高失業率や、教育・保健分野といった基本的サービスの質の低さといった長年の問題が依然として解決されていない現状を浮き彫りにしている。
詳細は、プレスリリースをご覧ください。
【関連リンク】