埼玉大名誉教授でNHK経営委員の長谷川三千子氏(68)が4月15日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見し、1993年に朝日新聞東京本社内で拳銃自殺した右翼活動家の野村秋介氏を礼賛する追悼文を発表していたことについて、追悼文は「私自身の解釈を述べた」ものだと釈明した。
長谷川氏は会見冒頭、「NHK経営委員会としても安倍首相の『お友達』としても話すつもりはない。『自由な個人』として話す」と強調した。この日の会見のテーマは、安倍政権が唱える「積極的平和主義」だった。約90分間の会見を英語でこなした。
「野村氏の自殺が積極的平和主義か」と問われると、長谷川氏は「ある意味では、そうだ」と答えた。そして、「一部のジャーナリストは、これがジャーナリズムへのテロだと誤解している。本当に自殺が意味するところは、彼に近い人にとってもミステリーだ。三島由紀夫の自殺のように大きなエニグマ(謎)を残した。多くの解釈が可能だ」などと述べた。
長谷川氏は昨秋、野村氏への追悼文に「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどと露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」といった文章を寄稿した。メディアへの暴力による圧力には触れずに刑事事件の当事者を擁護したと受け取れる内容で、NHKの最高意思決定機関の委員としての資質を問う声が出ていた。
また、河野談話や村山談話の見直し問題については「何が事実なのか調査は続けなければならない」として事実関係を検証するように求めたものの、見直しの必要性については直接的には発言しなかった。
放送法の「報道は事実をまげないですること」という記述を「ゴールデンルール」(黄金律)だとして、「これは放送だけではなく、ジャーナリズム全体、歴史全体にも、そして政府にも当てはまる。大昔の出来事について事実関係を調査することは特にとても難しいのだが、それでも何が事実なのか調べ続けなければならない」と強調した。
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