MeToo運動で、男性が女性を避けるようになった。そしてそれは悪化している【調査結果】

「男性管理職の約60%が、職場の女性への指導や1対1での仕事に気まずさを感じている」。こんな調査結果が明らかに。解決するにはどうすればいいのでしょうか。
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#MeToo イメージ写真
3283197d_273 via Getty Images

「男性管理職の約60%が、職場での女性への指導や1対1での仕事、交流する事に気まずさを感じている」

Facebookの幹部であるシェリル・サンドバーグ氏が創設した女性支援団体、リーンイン(LeanIn.Org)が5月17日に調査結果を発表した。

その結果は、2018年に「性的不正行為の告発によって著名な男性数名が職を失ったことを受け、不安が増した」と語る男性が46%だったのに比べ、悪化しているように見える。

男性は仕事のために女性部下と夕食を共にしたり、出張したりすることも躊躇している。2019年の調査では、そんな実態が明らかになった。

男性が女性を会社で避けることが、セクハラ問題の良い解決策に見えるかもしれない。しかし、未だに男性は職場で圧倒的に高い地位にある。良くも悪くも女性は地位向上のためにまだまだ支援が必要だ。しかも、女性は男性と働くことを怖がっているか、などと聞かれることはまず無い。女性が主に嫌がらせや暴行を受け、告発しているのにも関わらずだ。

「Me Too運動以前から、男性は他の男性に指導やアドバイスをすることの方が多い」とリーンイン代表のレイチェル・トーマス氏は話した。大抵の場合、男性は男性部下の手助けをする事が多い。周りに彼らの良い評判を広め、昇進への道を開いてやるのだ。男性たちがゴルフコースで取引や談話をするにはワケがあるのだ。

すでに女性に対しての手助けが少なかったのに、Me Too運動をきっかけに更に減っているのは「踏んだり蹴ったり」だとトーマス氏は話す。「もし男性が解決の手助けをしたいのなら、女性から遠ざかるのは間違っています」

現状の調査では、男性が女性を避けるようになった理由は明確になっていない。

調査によると、36%の男性が、周りの目を気にして女性を指導したり交流することを避けているという。他の男性は、自分の行動が女性を不快にさせるかもしれない、と敏感になっているようだ。

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男性と女性がオフィスで談話している。イメージ写真
Maskot via Getty Images

男性の中には、女性が被害を捏造していると主張する者もいる。「それらは根拠がない恐れです」とトーマス氏は話す。彼女は、同様の作り話が性的暴行に関しても取り巻いていると指摘。いくつかの調査によると、虚偽の告発はレイプの報告ではとても低い割合(他の犯罪と同様)だという。報告されていない性的暴行を含んだ場合、その虚偽告発の割合はより低くなる

そして、声を上げた女性のネガティブな印象や自身のキャリアのリスク(仕事を失ったり、業界から追われたり、終いにはホームレスになったり)を考慮すると、個人的利益のためにセクハラ訴訟を作り上げるという考えは、本当にばかげているとしか思えない。

「MeToo運動をきっかけに、男性は職場で女性と関わることが、単に怖くなったのです」と、性的不正行為で解雇された男性たちの弁護で注目を集めたジョン・シンガー氏は言った。彼の事務所ではセクハラを訴える女性の弁護もしている。

シンガー氏は、「Me Too運動は、職場での男女関係に萎縮効果をもたらしました。男性は女性の同僚や顧客と2人だけでいることを怖がるようになったり、かける言葉に慎重になっています」と話した。また、男性と女性の両方のクライアントから、ミーティングや交流の集まりから女性が外されるようになってきているという話を聞く、と加えた。

このようは隔たりは女性の昇進を妨げるだけでなく、単に仕事をこなすこと、顧客とのミーティングや、営業でのチームワークをも困難にしている、とシンガー氏は話した。

今回の調査の為、リーンインはオンライン調査企業SurveyMonkeyと手を組み、2月と3月に8000人以上の成人を対象に2つのオンライン調査を行なった。結果は、アメリカの18歳以上の大人の人口構成を反映するよう検証された。

リーンインは女性上司らに対し、男性部下と関わることをどのように感じたかを聞いた。女性らは何ら問題もないのようだった。彼女らは1対1で男性とミーティングをするのになんの躊躇もなかった。一方、男性は1対1のミーティングをする際、相手が女性部下の場合、男性部下とのミーティングに比べて12倍以上躊躇いを感じている事が分かった。

社内で地位のあるリーダーによる指導やガイダンスは女性の向上を手助けする上で重要だ。そして、そのリーダーの多くは男性である。突き詰めると、更に多くの女性がリーダー職に就くことがセクハラ削減につながる、とトーマス氏は話した。また、社内で男女の平等を試みている企業では、セクハラなどの問題が少ない、と加えた。

ブルームバーグによると、男性社会が主となるウォール街ではこの問題は深刻だという。男性は女性に対して「卵の殻の上を歩く」ように慎重になっていると言われている。

男性にとっては、この問題を話すことも難しい。ある男性は、窓がない部屋で女性とは会わない、または女性と2人でエレベーターには乗らないと言った。他の男性は35歳未満の女性と夕食を一緒にしないとも話した。

しかし、これらの行動は裏目に出る可能性もあるのだ。
職場で女性に違った対応をする事は、差別訴訟の根源を形成する可能性もある。

トーマス氏は、これを容易に修正する方法があると言う。

・もし女性と2人きりで夕食をしたくないのであれば、男性ともしない。代わりに朝食に行く。

・社交的になる時と同じように、男女に平等に接すること。

・もし女性とオフィスで2人でミーティングをするのが不安であれば、ドアを開けたままにする。

男性も女性も、どこまでが「適切」なのか、その境界線はわかっているはずだ。

「私の真のメッセージは、『乗り越えなさい』ということです」とトーマス氏。「敬意を持った行動が何か分かっているはず。もし何らかの理由でまだ遠慮しているなら、その言い訳は使わないで。女性に平等なアクセスと支援を与える簡単なやり方はいくらでもあります」

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。