女性でも男性でもない性自認の人の代名詞は「they」。ウェブスター辞典が登録

ひとりの人を表す時に「she(彼女)」でも「he(彼)」でもなく、「they」も用いられることになる。
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Handout via Getty Images

「she(彼女)」でも「he(彼)」でもない。

権威ある英語辞典「ウェブスター辞典」が9月17日、ノンバイナリー(性別を女性・男性どちらでもないと認識する人)の人を表す単数代名詞として、「they」を登録したと発表した。

「they」は通常「彼ら・彼女ら」などと訳され、これまで複数の人を表す単語だったが、今後はひとりの人をさす言葉としても用いられることになる。

 「ノンバイナリーの代名詞“they”が登録されました」

ウェブスター辞典の「they」のページには、これまで使われていた「人々」などの複数形の使い方に加えて、4番目の定義「性自認がノンバイナリーの1人の人間を指す」が書かれている。

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「they」のページ。4番目の定義として「性自認がノンバイナリーの1人の人間を指す」と書かれている。
merriam-webster.com

同辞書は、「単数形としての“they”はこれまでも性別がわからない人を指す場合に使われてきたが、ノンバイナリーの人を指す代名詞として“they”が使われるようになったのは、比較的近年だと説明する。 

■サム・スミスさんも単数形としての“they”

一般的には複数形を表すtheyを、一人の人物を表す単数代名詞としての使う表現は、ノンバイナリーの人たちの間で増えている。 

自信をノンバイナリーだと公表している歌手のサム・スミスさんも9月13日、「自分の代名詞として they / themを使うことにした」とInstagramで明らかにした。

「内側も外側も、そのままの自分を受け入れることにしました。とても嬉しいことに、そして幸いにも私はこの決定をサポートしてくれる人たちに囲まれている」と、スミスさんは綴る。

今回の“they”を加えるという改訂の他に、ウェブスター辞典は533の新しい言葉と新しい意味を加えた。

「言葉は現れては消えていくもの。しかし長く使われる言葉、使用頻度が増えている言葉は、記録され説明されねばならない。言い換えれば、彼らには定義が必要ということになる」と ウェブスター辞典は説明する。

例えば、これまで友人を紹介する場合「This is my friend, Jay. I met him/her at work(友人のジェイです。彼/彼女は職場の同僚です)」と、性別を指定した代名詞を使っていた。

これが今後ノンバイナリーの友人を紹介する場合は、「This is my friend, Jay. I met them at work(友人のジェイです。その人は職場の同僚です)」と変わっていくことになりそうだ。