育休復帰前の心構え【前編】〜「私のデスクがない!?」キャリアダウン対策

職場復帰後のママが特に陥りがちな、2つの現象「キャリアダウンへの失望」と「ブランクがもたらす浦島太郎化」について、先輩ワーママの体験談を交え、対策を伝授します。

産休・育休も終わり、いよいよ仕事に復帰! と高まる期待に胸躍らせるママの皆さん。

今、様々な不安と期待があることでしょう。実際、職場復帰すると悩むことがたくさん出てきます。

今回は職場復帰後のママが特に陥りがちな、2つの現象「キャリアダウンへの失望」と「ブランクがもたらす浦島太郎化」について、先輩ワーママの体験談を交え、対策を伝授します。

これから復帰予定のママはもちろん、迎える立場の同僚の皆様にとってもワーママの本音を知るヒントとしてご参照ください。

キャリアダウンはある、という現実

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職場復帰したワーママがまず直面しがちなのが、「与えられる仕事は新人並みの仕事ばかり......」というキャリアダウン。

実際にキャリアダウンを経験したワーママの声をご紹介します。

復帰当日、私のデスクがなかった。「どこですか?」と上司に聞いたら、明らかに今日運び込んだらしい古いデスクで暗黙の了解である「序列」でいうところの「新人の位置」に置かれていました...... (Aさん/30歳/育休1年8ヶ月)

デスクはあったが「担当する仕事、これから決めるから」と。1週間、職場のお荷物状態でした。我慢しきれずに上司に再び聞いたら「あ、そうだった。えーと、○○さんのヘルプして」 まさか私が教えた後輩のアシスタントになるなんて...... (Sさん/35歳/育休2年で復帰/金融系)

当然前にしていた業務に戻れると思っていたら、同じ部署ながら新人がするような伝票整理とデータ入力ばかり。「残業無理だし、いつ休むかわからないから」と言われて反論はできずにかなり落ち込みました。(Tさん/31歳/育休1年で復帰/メーカー営業部)

企画会議に自分が呼ばれないのに呆然とした。ブランクに対して準備してきたつもりだけど、育休あけから時短勤務中は「戦力外」とみなされるんですね...... (Hさん/37歳/育休1年6ヶ月で復帰/出版社)

こういったワーママの嘆き、本当に多いのです。

会社側の立場になって、冷静に考えてみましょう。職場には保育園から何度も電話が入る。子どもは発熱もする。病気にもなる。上司としては、他の社員の仕事量も考慮しなくてはなりませんし、業務によっては分担できないものもあるでしょう。

一方で、「小さい子がいるんだから」という気遣いから責任の多い業務から外したり、早く帰れるようにと負担の少ない仕事を任せようとしてくれる上司もいます。

これを「ありがたい、ワーママにも働きやすい職場で良かった」と捉えられれば問題ないのでしょうが、「せっかく復職したのに、仕事減らされちゃって」と感じてしまうのも無理はありません。キャリアダウンに悩んでしまった場合は、以下のように考えると、乗り越えられるかもしれません。

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会社の業務は日々進み、あなたが休んでいる間も他の誰かが業務を遂行しキャリアを積んでいるという事実から目をそらす事はできません。働く女性だからこそ、厳しい現実を受け止める冷静さが必要です。

まずは、育休前の仕事や役割にしがみつかず、今与えられた仕事を全うすること。

業務の内容にこだわらず、新人時代のように「何でもやります!」と前向きになりましょう。

「育休前、私はこれだけの仕事をしてきたのに」という不満はよくわかります。育休をとる女性の出産時期を考えると、30代前半から半ば、社会人歴は10年を越えた辺り。仕事の面白さややりがいを感じ、自分の能力にも自信がついてきた頃の自分を振り返り、やりきれない気持ちになるのも仕方がありません。

でも、育休に入る前とは、あなた自身も変わっています。なにしろまず、わが子がいるんですから。仕事だけでなく、子育てという大きな責任をもうひとつ抱えているのです。いきなり育休前と同じ状況には戻せません。

いい意味で「最初はこんなもんだよね」と受け止める方がうまくいく。淡々と仕事をこなしていくうちに周囲も「任せて大丈夫かも」と認めてくれるはずです。

復職当初は一種の「移行期」と捉えてみてはどうでしょう。実際にあなたが働いている姿を見ながら「それなら次にこの仕事を」と判断していくのは、会社側です。自分がどう働きたいのか、現場に戻って少しずつ合わせていくのが、あなたなのです。

いきなりプールに飛び込むのは危険でしょう? まず足をつけて冷たさや深さを探り、そこから泳ぎ出しましょう。復職も「つま先から水につけていく」そんなイメージでペースをつかんでいきませんか?

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子どもの成長は早いものです。あなたが思っている以上に職場復帰は大変で、でも大変なだけにあっという間に1年がすぎ、だんだんと育児と仕事の両立も、自分なりのペース配分が身に付きます。

そうしているうちに自然と、「仕事を任せられる」と時間をかけて周囲に納得させられるものです。遠回りなようですが、これが一番の近道、という先輩ママが非常に多いのです。

子どもがいると、突発的な出来事が「突発」ではなく「日常的」に起きます。保育園入園当初は特にそうです。

子どもが巻き起こす様々なトラブルとこなしつつ、仕事を続けて行くうちに度胸や覚悟、自信がうまれ、周りからの信頼も得られるようになります。ママだからこそのパワーもあるのです。

だからどんな小さな仕事でも、まずはコツコツ続けてみましょう。

育休あけ復帰から、キャリアアップだってできる!

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キャリアダウンの可能性がある、というのはこれから育休復帰をむかえるママには、少しショッキングだったかもしれません。

でも、キャリアダウンを経験しつつも、その後キャリアアップを遂げたママもたくさんいます。

最後に、そんな先輩ワーママに体験談を伺いました。

保育園1年目は有給はすべて子どもの病気で使い果たした。もし、重要な仕事など任せられたらパンクしていたかも。同じ職場に戻れただけでも有り難いと考え、下働きに徹しました。最初は冷たかった同僚も「Nさんがいると助かる」「仕事がはかどる」「業務に精通しているから他のアシスタントより安心!」と評価もあがってきて、翌年にはプロジェクトリーダーに。(Nさん/38歳)

最初はひたすら低姿勢で、終わらなかった仕事は家でやり、夫が早く帰れるとわかった日には自分の仕事ではなくても他の人の残業も手伝うようにしました。ひとり、ふたりと理解してくれる人や味方を増やすのが、時間がかかるようでも「前のポジション」に戻る近道です。(Hさん/29歳)

私は復帰後、部署変えをさせられました。正直落胆したけど、人事異動は企業としては当然の処置と受け止めて、絶対に不満は顔にださずに(本当はかなり悶々としていたけど!)仕事はこなしました。1年後、その部署の部長が「Aさんね、すごく頑張ってるって話をしたら、こっちに戻して欲しいとS部長から言われたよ」と! 無事、希望どおり元の部署に戻れました。最初から希望や要望を押し通すのではなく、まず「仕事の姿勢」でワーママでも出来ると納得してもらい、「結果」を行動と形できちんとアピールしていくのが大事。(Aさん/35歳)

いざ仕事をしてみると、カンは鈍っているし発言も的外れだった事も。「今の私は以前と違うんだ」と認めました。後輩だった子にも率直にわからない事を聞き、教えてもらいました。カバーしてくれた相手には頭を下げてお礼を言い、感謝の気持ちもストレートに伝えました。同時に、時短で帰るのは「私の権利」だから堂々と、コソコソせずにサッサと帰宅。6ヶ月から保育園ですが、まぁ2〜3歳になればだいぶ体調不良も減るし、夫と交替で有給消化、シッターや病児保育で給料の半分もっていかれながらも、気づけば小学6年生。残業しても何とかなるようになり、そしてついに管理職に昨年昇進しました。頑張りましょう、きっとどうにかなりますよ!(Fさん/42歳)

自分の現状を受け止め、目の前の仕事に邁進した結果、キャリアアップにつながったという方が多いですね。育休あけは、キャリアだけにこだわりすぎないこと。キャリアアップはジリジリ追いつき、追い越せ、の根性が実を結ぶようです。

もしキャリアダウンに悩んでしまったら、くさらず、くじけず、「まあ、こんなもんだろう」という気持ちでスタートしていきましょう!

後編では、「育休前と全然違うんだけど!?」という浦島太郎状態に悩んだ場合の対策について、お話しします。

【ライター 大橋 礼】

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。

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