生命誕生に関わる「減数分裂」の謎を解明する研究成果が発表され、不妊や流産、新生児の異常などの予防につながることが期待されている。
ヒトの精子や卵子ができる前に起きる生殖細胞の減数分裂の詳しい仕組みを解明するため、早稲田大の佐藤政充准教授や英がん研究所の角井康貢・博士研究員らが酵母をモデルとして行った実験で、多数ある「微小管」の一部が急に長く伸びて遠くの染色体をつかまえ、正しい分配につなげる現象を発見した。
(時事ドットコム 2013/06/17-02:02)
「減数分裂」と聞いて、「生物の授業で習ったな」と懐かしく思われる人、あるいは受験勉強の悪夢がよみがえって頭が痛くなる人もいるかもしれない。高校では「生物Ⅰ」の範囲で、2012年度の大学入試センター試験「生物Ⅰ」の第2問にも登場するなど、生物学の基本中の基本だ。
減数分裂とは何か。「コトバンク」で辞書的な意味を調べてみると、以下の通りである。
精子や卵などの生殖細胞ができるときに起きる細胞の分裂。核分裂が2回続き、第1分裂で相同染色体に対合が起こり、分離して染色体数が半減する。第2分裂は普通の核分裂で、結果としてもとの半数の染色体をもった4個の細胞ができる。還元分裂。(小学館 デジタル大辞泉)
細胞を増殖させて体をつくる体細胞分裂とは異なり、精子や卵子などの生殖細胞がつくられる時に染色体が半減することを減数分裂という。どうして半減する必要があるかというと、かんたんに言えば、減数分裂によって精子と卵子のDNAをそれぞれ半分にし、受精する時に細胞内のDNAの量を維持するためである。
今回の研究では、チューブリンというタンパク質からつくられる細胞内の管状構造物「微小管」が、減数分裂の際に染色体を正しく分配する役割を果たすことがわかった。
減数分裂の仕組みは、未解明の部分が多い。今回の研究が、生命の誕生にまつわる謎を解き明かすきっかけとなるかもしれない。