【高齢者医療費負担】70〜74歳 高齢者の医療費窓口負担、2割に引き上げに賛否【争点:アベノミクス】

田村憲久厚生労働相は9日の記者会見で、特例で現在1割となっている70~74歳の医療費窓口負担を、2割に戻す時期について、来年4月を視野に入れて議論を進める考えを示した。これに対して賛否の声が上がっている。
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田村憲久厚生労働相は9日の記者会見で、特例で現在1割となっている70~74歳の医療費窓口負担を、2割に戻す時期について、来年4月を視野に入れて議論を進める考えを示した。

70~74歳の医療費の窓口負担は、2006年に成立した医療制度改革関連法で、2008年度から2割に引き上げられることになっていた。しかし、2007年の参院選で大敗した自公両党が、高齢者の反発を避けるために1割に抑える特例措置をとり、そのままになっている。

産経ニュースは、医療費の財政負担について下記のように報じている。

政府は今年4月から1年間、特例措置を続けるために約2千億円を計上。同省(厚生労働省)によると、1割に据え置くための財政負担は、団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が初めて70歳になる平成29年度以降、毎年200億円ずつ増加する。70~74歳人口がピークに達する33年度には3千億円超が必要になる。

(産経ニュース「田村厚労相、来年4月から70~74歳医療費窓口負担増も」より。2013/07/09 22:47)

このニュースについて、インターネットでは賛否両論上がっている。

少子高齢化が進む中、年金、医療、介護などにかかる社会保障費は増え続けており、年間100兆円を突破した。厚生労働省によると、2025年度には約148.9兆円に達するという。今の水準の社会保障を維持するなら、それにみあった財源が必要だが、それが難しいなら、保障内容を抑制するしかない。

アベノミクスの成長戦略では、第4の矢として「財政再建」を求める声が相次いでいるが、これからの社会保障制度に必要な財源はどうするのか。衆院選解散前に民主・自民・公明の3党合意に基づき設置された国会版社会保障国民会議は、社会保障費に関してこれまで16回の会議を開き、これからの社会保障のあり方について議論を行なってきた。7月1日、「国会版社会保障制度改革国民会議最終とりまとめ」が行われ、年金開始時期の引き上げや、介護保険の高齢者事故負担の引き上げだけでなく、70~74歳の医療費窓口負担を早急に本来の2割負担に移行する必要性などが盛り込まれた。

また、最終取りまとめには、若い世代の負担する社会保険料を抑制する必要性も入っている。現在、単一料率となっている社会保険料について、低所得者層にはとりわけ重い負担になっていることを指摘。累進化などが提案されている。

政府は5日、社会保障制度改革国民会議の議論を踏まえて、社会保障制度改革の方向性を示す骨子を8月21日までにまとめ、閣議決定する方針を固めた。産経ニュースによると、骨子を基に改革の全体像や工程を記した法案をつくり、秋の臨時国会への提出を目指すという。

社会保障費がどの分野に配分されるのか。介護や年金なのか、生活保護なのかそれとも子育て支援なのか。選挙における各党の公約で確認すべきは、各党どこに重きを置いているかという点であろう。参院選の投票日までに、各党がどのようなアピールを行うのか、引き続き注目する必要がある。

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