財務省が発行した貨幣ではないのにも関わらず、「日本国 千円」と刻印された“謎のメダル”の件で、新展開があった。
これまで都内の男性が所有しているものがネット上で話題になっていた。その後の調査で埼玉県在住の40代女性が全く同じメダルを所有していたことが判明。12月19日、ハフポスト日本版の取材に応じた。
1980年代前半に、青森県むつ市周辺のドライブインに飾ってあったものを1000円で購入したという。「謎のメダル」は、80年代までに青森県の下北半島の周辺で配布されていた可能性も浮上してきた。
■「謎のメダル」とは?
都内在住のハリジャンぴらのさんがTwitteに投稿して話題になった「謎のメダル」は、500円玉より一回り大きいサイズで記念硬貨のような姿。金色に輝いている。
片方の面には「日本国 千円」という刻印とともに、下北半島やハクチョウのような図案が描かれている。もう片方の面には「むつ小川原国家石油備蓄基地開発記念」として、石油タンク群のような図案が描かれている。
しかし、財務省は「日本で発行された貨幣ではない」とコメント。青森県庁なども「発行してない」との回答で、誰が何のために作成したものか手がかりが何もなかった。
■「売り物ではない」という返事だった。
ハフポスト日本版で、12月17日に「『日本国 千円』と刻印された謎のメダル。その正体を探ってみたが、全く分からなかった」という記事を掲載したところ、数十人から情報提供があった。その中で、「同じメダルを持っている人がいる」という情報があり、本人に問い合わせて埼玉県内で会うことになった。
彼女が見せてくれた「謎のメダル」は、木箱に入っており、非常に状態が良い物だった。木箱には金色で「青森県」「記念」「むつ小河原湖国家石油備蓄開発建設事業」と書かれている。
以下は、一問一答だ。
――このコインはいつ入手したものですか?
私が小学校高学年のころだと記憶しているので、1982~84年ごろだと思います。
――どんな経緯で入手したのですか?
祖父母の家がある青森県おいらせ町から、親族ら10人ほどでマイクロバスに乗って、下北半島北部の恐山まで観光に行ったことがあるんです。そのとき、恐山に行く途中、むつ市周辺でドライブインで食事をするために寄ったんです。その店のお土産コーナーの辺りに、このコインが箱を開けた状態で飾ってありました。石油タンクの面が見えてましたね。
私も石油タンクなど建築物が好きだったので、興味を持って「お土産品ですか?」と店員に尋ねました。「売り物ではない」という返事だったんですが、父親と一緒に粘って交渉したところ「じゃあ1000円なら売るよ」ということで、父親に買ってもらいました。すごくうれしかったのを覚えています。
――「日本国 千円」の刻印は買った際には気付かなかったですか?
そっちの面は見てなかったですね。だから、1000円と聞いたときは、ちょっと高いなと思ったのですが、買ってから、もう一つの面を見たら「青森県 千円」と書いてあったので、「だから1000円だったんだ」と気付きました。記念硬貨なのかな?と思っていました。
――当時、青森県の親族の方などで、このメダルについて知っている方はいましたか?
いえ、誰もこのメダルのことは知らなかったですね。
――その後は、メダルはどうしましたか?
1985年に出た「つくば万博記念500円硬貨」などと一緒に、父が室内にしまっていました。たまに取り出して人に見せてました。近所の大人が「1000円で買うよ」と言ってきたこともあるけど、断りました。
もう10年くらい見てなかったんですが、2018年12月に父が亡くなり、遺品を整理する中で、このメダルが出てきました。年が明けてから私もTwitterに写真を投稿したのですが、そのときはあまり反響がなかったですね。
【読者の皆さまへ】
ハフポスト日本版では「謎のメダル」について調査を進めています。このメダルについて、何かご存じの方がいたら、筆者(kenji.ando@huffpost.jp)までご連絡ください。