舛添要一氏勝利で「足かせ」回避の安倍政権 それでも残る"アキレス腱"とは【都知事選】

東京都知事選挙は自民・公明両党が支援する舛添要一元厚生労働相が他候補を引き離し、当選を確実にした。安倍政権にとっては、沖縄県名護市長選に続く地方選での敗北を免れ、政権運営に足かせとなるようなリスク表面化を回避した。
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時事通信社

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東京都知事選挙は自民・公明両党が支援する舛添要一元厚生労働相が他候補を引き離し、当選を確実にした。安倍政権にとっては、沖縄県名護市長選に続く地方選での敗北を免れ、政権運営に足かせとなるようなリスク表面化を回避した。

ただ、4月の消費増税後の経済動向は不透明で、この勝利でアベノミクスへの信任がさらに強まり、政権運営に弾みがつくという積極的な評価はあまり聞かれない。集団的自衛権行使をめぐる議論も、引き続き政権運営のアキレス腱になりかねない。

都知事選で最大の争点となった原子力発電所再稼働の是非についても、脱原発を主張した細川護煕氏の敗退で、これまでの方針を踏襲するとみられる。

<舛添氏が勝利宣言、石原環境相「政権運営には追い風」>

東京都知事選は、脱原発を掲げた細川護熙元首相が小泉純一郎元首相の支援を受けて出馬表明したことで、様相が一変。原発再稼働の是非を問う国政選挙並みの関心を集めた。細川氏が勝利すれば「安倍政権に対する一種の不信任になり、国政にもかなり大きな影響を与える。原発再稼働は大幅に遅れ、安倍政権にとってマイナスとなった」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)とみられ、政権与党内にも緊張感が走った。

しかし、同じく脱原発を主張する日弁連前会長の宇都宮健児氏との一本化ができず、「脱原発」票は二分される結果となった。

午後8時の投票締め切りと同時に、NHK、民放テレビ各局は一斉に舛添氏の当選確実を報じ、舛添氏は「皆さんのおかけで勝つことが出来た」と勝利宣言した。

選挙結果が政権運営に与える影響について、自民党東京都連会長の石原伸晃環境相は「追い風になる」と指摘。今後の原発政策・エネルギー政策に関連し「原発依存度を減らしていくという方向性は、舛添氏も安倍総理も同じだが、無責任に何の計画もなくやってしまっては、東京が駄目になる。雇用や老後が心配になると東京都民が思った」と述べ、安倍政権の政策に一定の理解が得られたとの認識を示唆した。

<集団的自衛権行使めぐる議論、官邸主導の政権運営に影響も>

ただ、舛添氏勝利が政権運営に与える影響について、ある与党筋は「ほとんど関係ない」とみる。政府は「経済最優先」で政権運営を進める考えを明らかにしており、当面は、4月の消費税引き上げ後に経済を早期に成長軌道に復帰させることができるかが最大の課題だ。期待通り賃上げの動きが広がり、経済の好循環を実現できるかも焦点。

引き続き経済の動向が政権運営を左右する状況は変わらない。政府は6日に成立した13年度補正予算の着実な執行とその進ちょくに目を凝らし、経済対策の効果を見守る構えだ。

一方、与党内では、集団的自衛権行使をめぐる議論の行方に神経をとがらせる声が挙がっている。

首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、4月にも集団的自衛権の行使を容認する報告書を首相に提出するとみられている。同報告を受け政府は、今国会中にも憲法解釈の変更に踏み切るとの報道もみられ、慎重姿勢を崩さない公明党との調整は難航必至な情勢だ。

公明党は今年11月に結党50周年の節目を迎える。公明党が譲れない一線に対して、安倍首相が結論を急げば、連立政権内のきしみも懸念される。

もっとも、公明党の選挙協力なしには、自民党議員の多くが国政選挙を戦えない現状を考えれば「公明党との連立は崩れない」(政治アナリストの伊藤氏)との見方が大勢だ。伊藤氏は、安倍首相が突っ走り、支持率が低下すれば、党内の不満が噴出し、官邸主導の政権運営に影響も出かねないとみている。

[東京 9日 ロイター]

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