田代まさし容疑者が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されたことを受け、田代さん出演回の動画などを非公開にしていたNHK Eテレの番組『バリバラ』。11月16日までに、番組側のコメントや一部修正を加えた上で、公式サイト上に番組の要約を再掲載した。
NHKは2019年7月、薬物依存症をテーマにした『教えて★マーシー先生』を2週にわたって放送した。番組には、依存症から復帰を目指す”先生”役として田代さんが出演。薬物依存症の実態を当事者の視点で語り、専門家らとともに、薬物の問題で苦しむ人やその家族が受けられるサポートについても紹介していた。
番組は大きな反響を呼んだ。しかし、11月6日、田代さんが逮捕されたことを受け、公式サイトの番組紹介ページやYouTube上に掲載されていた動画がその日のうちに削除された。
一時非公開にしていたが、紹介ページが再掲載された
有名人が不祥事を起こすと、映画やドラマ、テレビなどの出演作が軒並み「お蔵入り」になってしまうケースは多い。
その影響は過去作品にも及び、2019年には、ピエール瀧さんが麻薬取締法違反の疑いで逮捕(6月に懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決)されたことを受け、電気グルーヴの音源が販売停止になった。
一方で、こうした“自粛”の動きについては、「作品に罪はない」と疑問視する声も多い。また、専門家らは、メディアの過熱報道をはじめ、出演作を削除するなどの「制裁」を与えるような措置が依存症患者を社会から孤立させる風潮を助長させてしまう、と指摘している。
産経ニュースによると、NHKは番組を非公開にした理由について、「出演はリハビリに励んでいることを前提にしており、動画をそのまま掲載することは適切ではないと判断した」と説明したという。
しかし、その後、16日までに田代さん出演回のページが再掲載された。ページの冒頭には、「バリバラはこの問題を今後も考え続けていきたいと思います」とする番組側のコメントも追記された。
番組側のコメントは以下の通り。
2019年11月6日、田代まさし容疑者が薬物を所持していたとして逮捕されました。田代氏は、番組出演時に「薬物に頼らない一日一日を積み重ねている」と語っていただけに、逮捕の知らせはバリバラ関係者にとっても大きなショックでした。そして、薬物依存症が回復する道のりの険しさ、患者を孤立させず社会復帰につなげていくにはどうすればいいのか、をより深く考える機会となりました。バリバラはこの問題を今後も考え続けていきたいと思います。
以下、放送当時の表現に一部修正を加えた上で、サマリーを再掲いたします。
紹介ページは再掲載されたが、動画については非公開のままとなっている。
◇
この記事には違法薬物についての記載があります。
違法薬物の使用は犯罪である反面、薬物依存症という病気の可能性もあります。
医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気です。
現在依存症で悩む方には、警察以外での相談窓口も多く存在しています。