アメリカ・メリーランド州のラリー・ホーガン州知事は4月21日、猫の抜爪(ばっそう)手術を禁止する法案に署名した。
新たな法律は獣医が治療の目的以外で猫の爪を除去することを禁じ、違反した場合は、最大1000ドル(約12万8000円)の罰金が科される。
10月1日に施行される予定で、メリーランドは、アメリカで2番目に猫の抜爪を禁止する州となる。
民主党のシェリル・ケーガン州上院議員は、知事の署名を歓迎し「猫たちは、自らを守るために人間を必要としています」「メリーランドが、猫の抜爪という残酷行為を禁止する2番目の州になることを誇りに思います」と、NPO団体「パウ・プロジェクト」にコメントした。
痛みとリスクを伴う抜爪
猫の抜爪は、人間が指の爪を切るような感覚で受け止められることも多いが、実態は異なる。
抜爪には痛みや感染症、組織壊死、歩行障害などのリスクが伴うほか、地面に着地する感覚が変わって、まるで履き心地の悪い靴を履いているかのような痛みが続く場合もある。
抜爪禁止反対派の中には「禁止することで、家具や人を引っ掻くことを嫌がる飼い主が、猫を捨ててしまわないか」と懸念する声もあるが、抜爪で猫に悪い行動習慣を身に付けてしまうという研究結果も発表されている。
この研究によると、爪がない猫は脅威を感じた時に噛みやすくなったほか、トイレ外におしっこをするケースもあった。これは、トイレ砂が爪を抜いた手を刺激するため、猫がトイレに入るのを嫌がるからだという。
アメリカでは、2019年にニューヨークが州として初めて猫の抜爪を禁止した。デンバーやロサンゼルス、サンフランシスコなどの都市レベルでの禁止もある。またフランスやドイツなどのヨーロッパの諸国や、カナダの複数の州でも抜爪が禁止されている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。