3月2日に開かれた衆議院予算委員会の締めくくり質疑で、自民党議員が丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当大臣に対して「各国首脳からアジアンビューティーと呼ばれ、大変人気があった」と発言する場面があった。
見た目で人を評価するのはルッキズム(外見至上主義)と呼ばれ、褒める文脈であっても、公的な場の発言としてはそぐわないとみなされる。
この発言は、丸川大臣に近い立場の与党議員が、丸川大臣に過度におもねるようなやりとりの中で出てきたものだった。
質問したのは、自民党の鬼木誠議員。丸川氏が環境大臣だった際、環境大臣政務官としてパリ協定が採決された2015年のCOP21(気候変動枠組み条約締約国会議)にともに参加した。
質疑でそのことに触れながら、当時の環境大臣として「パリ協定締結に向けて国際的な交渉を重ねてこられた思い出やご苦労、脱炭素に向けた世界のモメンタムが加速する現状への考えは」などと尋ねた。
丸川大臣は、パリ協定締結当時のことなどを振り返り、鬼木議員に「(当時)重要な役割を担ってもらった。この場をお借りして心から感謝を申し上げたい」と述べた。
続けて「聖火リレーも、福島県で作られる、環境に優しい製造工程でつくられた水素によって灯される」とオリパラに結びつけた。
丸川大臣の回答が終わると、鬼木議員は「また各国首脳からアジアンビューティーと呼ばれ、大変人気があったという話も、現地で聞こえてまいりました」と発言。
「本当にタフな交渉、パリ協定を成立させたという経験を胸に、しっかり自信を持って、東京オリパラに向けて頑張ってもらいたい」と持ち上げた。
与党議員の「ヨイショ」質問
質疑に立った与党議員が、政権や回答者を過度に持ち上げるシーンは、過去にもある。
朝日新聞によると、自民党の松川るい議員が2019年の参議院予算委で、日米貿易協定をめぐって「安倍総理、茂木大臣の卓越した外交能力、交渉能力により、非常に良いタイミングで短期間にまとめてくださったことを、日本国民を代表して感謝したい」と褒めちぎる場面があった。
協定締結日が茂木敏充外相(当時)の誕生日に近かった点に触れて、その意義を問う場面もあり、野党議員が委員会終了後に「単なるヨイショだ」と批判。自民党の閣僚経験者も「あれはやり過ぎ」と苦言を呈したという。
今回鬼木議員が、オリパラ担当大臣の丸川氏に対して、環境大臣時代の「思い出」を尋ねた場面では、失笑が起きていた。