第二次世界大戦中に両親が日系人強制収容所に収容されていたあるアメリカの議員が、アメリカ大統領選の候補者選びで共和党の指名獲得を目指すテッド・クルーズ氏のムスリム監視案を批判した。「ブリュッセル(への攻撃)に対抗するために、隣人のムスリムを監視することを提唱したり、敵を拷問することを提案したりするのは、逆効果であるばかりでなく道徳規範に反しています」と、カリフォルニア地区選出マーク・タカノ下院議員は述べた。
ブリュッセルでのテロを受け、クルーズ氏はムスリム・コミュニティへの締め付けの必要性を主張。「アルカイダやIS(イスラム国)が大きな影響力をもつ国からの難民の流入を、即刻中止させる必要がある」と述べ、「ムスリムが過激化する前に、彼らを監視し、締め付けを強化する法的措置を強化する必要がある」などと発言していた。
タカノ氏は、今日のイスラム恐怖症を、自身の家族が第二次世界大戦で受けた扱いになぞらえた。10万人を超える日系人が、大部分はアメリカ市民であったにも関わらず連行され、いわゆる“強制収容所”に収監された。後にロナルド・レーガン大統領が公式に謝罪し、賠償法案に署名したとき、このことを「アメリカ史上の悲しい一幕」と呼んだ。
「70年前、私の両親と祖父母は“日本人の血筋である”という理由だけで、第二次大戦の間中、収監されていました。裁判もなかった」とタカノ氏は語った。「当時は、誰も彼らのために声をあげませんでした。この歴史の教訓を無視することはできません」。
なお、クルーズ氏はその後、「ムスリムを標的にするという意味ではありません。イスラム教徒のテロ行為を標的にするという意味です」と釈明した。
クルーズ氏の発言は、アメリカへのムスリム入国禁止を提案している共和党の有力な大統領指名候補、ドナルド・トランプ氏に追随するものだ。オバマ大統領は23日、クルーズ氏の考えが「全く無意味」であり、また「今の私たちのあり方に反している」などと語った。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。