フランス大統領のフランソワ・オランドが9月7日夜、今後2年間にさらに2万4000人の移民や難民を受け入れると発表した。一方、極右のリーダー、マリーヌ・ルペンは8日、数万人のシリア人がヨーロッパに避難せざるを得ない人道的危機の状況にあるということを、否定した。
国民戦線(FN)の党首ルペンは、フランスはいま、「経済の移住」に直面していると話した。
多くの人々がヨーロッパ連合のドアを叩く中、「政治難民は絶対的に少数です」と、ルペンはRMC(ラジオ・モンテカルロ)で話した。耳障りな発言を正当化するため、「テレビで」見せられた写真を1つの証拠として提示した。ドイツに到着して喜んでいる子供たちの姿が世界中に広まった写真だ。
「私は、ハンガリーからドイツに流れてきた不法移民たちの写真を見てきましたが、写っている99%が男性です。彼らは、国から逃れて故郷に家族を残してきた男性で、迫害から逃げているわけではないと思います。明らかに経済的理由からです」と、ルペンは話した。政治的指導者はこのように、移民たちの本国送還や難民認定の拒否を正当化する。
ルペンが自信をもって引用した統計は、国際的な支援団体が公表したデータとは食い違っている。
先週、ユニセフ(国連児童基金)は、マケドニアを一日の間に通り抜ける3000人の移民や難民の3分の1が女性や子供たちだと推定した。ユニセフによれば、この女性たちの12%は妊娠しており、その割合は増え続けているという。
7日に発表された別の報道資料では、ユニセフは「今年ヨーロッパに避難してきた人々の4分1は子供で、2015年の初めの6カ月で10万6000人以上の子供が避難してきており、その数は昨年に比べて75%増えている」と推定した。
現段階では、移民の理由はルペンが言ったような経済的なものだとは断言できない。年齢と性別の他に、ヨーロッパ当局の手に入る移民や難民のデータは、彼らの出身国のみ。今年の初めからヨーロッパに避難してきた34万人の大部分はシリア出身だ。シリアでは、人々は暴力的な内乱で身動きがとれず、過激派IS(イスラム国)のテロ活動が行われている。
ルぺンが自分の政治的議論を裏付けるためにニュース画像に頼るのは、今回が初めてではない。シリア難民の幼児アイラン・クルディが先週、溺死したことをきっかけに同情が広まったことに対して、ルペンはフランスのラジオ局 RTL で「移民や難民は、私たちの指導者がもたらした死から逃げているのです」と認めた。この議論は、前フランス大統領ニコラス・サルコジと、今日のリビアに蔓延する混乱の中で彼が果たしてきた役割に対する彼女の非難の一環だった。経済的理由でヨーロッパに移民や難民が訪れているという彼女の現在の主張と矛盾しているように思われる。
移民や難民たちを表現するトーンには変化が起きている。彼らについて、ヨーロッパ諸国によって持ち込まれた戦争の被害者と表現していたが、いまでは「国民性の崩壊が進んでいること」が原因で流入する「重荷」や「洪水」と呼ぶようになっている。そしてフランスが「イスラム・テロの侵入」にさらされている、と表現している。
国民戦線は、移民や難民を「不法移民」と呼ぶ。首相のマニュエル・ヴァルスの政権や穏健な保守派の声とは反対だ。
「国民戦線や、右翼や極右政党が結集した政治連合による町議会の中に、不法移民を歓迎するところは1つもありません」。国民戦線党の副党首、スティーブ・ブリワは8日の報道発表でそう話した。「政府や自治体が取ることができる唯一の持続可能なアプローチとは、すべての不法移民を元の国へ戻すという確固たる方針を固めることです」
この感情は、極右にとっては何も新しいものではない。ルペンは昨年10月に北部の都市カレーへ行ったとき、フランスに「庇護権を受けることができる基準をもっと厳しくすること」、そして移民を「戦争で荒廃していても自国に帰すこと」を勧めた。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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