ソチ・オリンピックのフィギュアスケート女子で6位となった浅田真央さん(23)が2月25日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見し、来季の現役続行の可能性について「今のところハーフハーフ(五分五分)くらいです」と笑って答えた。
浅田さんはこの日ソチから成田空港に到着し、会見場に直行した。冒頭のあいさつでは、「最終的にはめざしている演技ができましたが、日本にメダルを持って帰ってこられなかったのは今でも残念だし、悔しい気持ちでいっぱいです」と語った。
今季限りの引退を公言してきたことに質問が及ぶと「まだもう一つ試合が残っています。世界選手権でショートもフリーも両方そろえて、ショーで全国のみなさんに感謝の滑りをして、それからしっかり自分で落ち着いて考えたいです」と話した。
浅田さんがショートプログラムで16位に終わった後、森喜朗元首相が「あの子は、大事な時に必ず転ぶ」と発言したことをどう思ったかと質問されると、「私自身、それを聞いたのは終わった後でした。人間なので失敗することもあります。失敗したくて失敗しているわけじゃないです」と答えた。さらに「私は別になんとも思っていないですけど、森さんが今、後悔しているのではないかなと思います」と話すと、会場は笑い包まれた。
浅田さんは、オリンピックでは前半のショートプログラムで16位と出遅れながら、フリーで圧巻の演技を見せて自己ベストを更新し、6位となった。今後は世界選手権(3月26~29日・さいたまスーパーアリーナ)に出場する予定だ。
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■「私はなんとも思っていません。森さんが後悔しているのでは」
一問一答は次の通り。
--あなたは世界中から称賛を浴びました。あなたの影響力はまれに見るほどです。将来、その力をスケート以外の分野で使うのは素晴らしいことと思うのですが。
将来のことはまだ何も考えていないです。たくさんのスケーターの方がショートの後に心配してくれて、「頑張れっ」ていうメールをたくさん送ってくださって、翌日のフリーで期待に答えられる演技ができたことはすごくうれしく思っています。
--(ソチ・オリンピック銀メダルだった)韓国のキム・ヨナ選手とは、長い間ライバルで、かつお互い尊敬し合う間柄でした。日本と韓国というライバル国同士がどうやったらうまくつきあえると思いますか。
私からは何か言うことはできないと思います。でも、私とキム・ヨナ選手はライバルとして小さいときからメディアで注目されてきましたが、リンクを離れると普通にお話ししたり、普通の選手と友達のような関係だと思っているので、私から何かを言うことはできないと思っています。
--ソチオリンピックでショートが終わった後、どんな気持ちでフリーに臨みましたか。
前日のショートで、自分の気持ちもどん底まで落ち込んでしまっていました。そこからのフリーだったので、自分も不安や恐怖心などあったんですけど、それを乗り越えました。最高の出来だったのでほっとしたのと、うれしさのあまり、本当に最高の気持ちになったから本当は笑顔が良かったんですけど、前日の気持ちもまだ消えたわけではなかったんで、ちょっと泣いてしまいました。
--氷上で転んだら痛くないですか。
自分で転ぼうと思って転ぶ時はまったく痛くないのですが、自分で「転ばない」って思ったときに突然転ぶのはメチャクチャ痛いです。
--将来、スケートを辞めたらどうするのですか。示唆していた通り、引退するのですか。
去年、「集大成」という言葉を使い、報道にもたくさん取り上げられてしまったんですけど、私自身この1年間、ソチオリンピックまで集大成という気持ちでやって来ました。今回もソチ・オリンピックのフリーでは悔いなく最後を終わりたいという気持ちで滑って、悔いなく終わったと思います。試合はまだこのあと一つ残っているので、そこでしっかりもう一度、最高の演技をして、その後に考えていきたいと思っています。
--森(喜朗)さんの驚くような発言について、どう思いますか。
もう終わったことなので、なんとも思ってないですけど。でも、聞いたときは「あ、そうなんだ」って思いました。
--ネット上でフランスのナタリー(・ペシャラ)選手が変顔の写真を出していました。だれが撮ろうと言い出したんですか。
あの写真を撮ったのはエキシビジョンが終わった後ですが、みな自分の演技が終わって、すごく達成感があった中での1枚です。最初は笑顔で撮っていて、最後は誰かが「変な顔しようと」と言いました。
--「ショートで失敗があったからこそ、いまの私がある」とは、なかなか言えないことです。精神的にはだれから影響を受けたのですか。
ショートが終わってから本当にたくさん考えたんですけど。いままでたくさんいろいろ経験してきて、ショートが本当に良くない中でフリーで挽回したこともあったし。コーチの言葉や今まで支えてくれた人の言葉があります。自分が「できる」と思ってやったことが自分の気持ちが復活できた理由かな、と思っています。
--トリプルアクセル(3回転半)は、どうして挑戦しようと思ったのですか。
私は小さいときからずっと(1992年アルベールビル・オリンピック銀メダルの)伊藤みどり選手に憧れていて、みどりさんの次に跳ぼうと思ってトリプルアクセルに挑戦してきました。試合で挑戦して成功したときは達成感でいっぱいになります。それでトリプルアクセルに挑戦してきました。
今回フリーにトリプルアクセルはずっと(構成に)入っているものだったので、トリプルアクセルをやらないという選択肢はなかったのですが、トリプルアクセルは一番の見せ場なので、外すわけには行かないと思いました。
--(ソチ・オリンピック8位の)鈴木明子選手がTwitterにみなさんで撮った写真を上げていましたが、いつ、どういった状況で撮ったのでしょうか。期間中、仲間のフィギュアスケート陣とどんな雰囲気で、どういった結束で臨んだのでしょうか。
この写真は、フリーが終わった日の夜にみんなで撮りました。選手村の中のお部屋で、フリーが終わったのでみんなで集まって、お話をしたり、お菓子を食べたりして、みんなで記念撮影をしました。
今回、日本からたくさんの選手が出ていたんですけど、みんなで一緒に無事に終わることができて、すごくほっとしています。選手村でもよく一緒に話したりとか、食堂でも会ったらみんなでご飯食べたりとか、そんな感じで過ごしていました。
--ソチ・オリンピックで何を学んだか教えて下さい。また、来シーズンも続けている可能性は何パーセントくらいですか。
オリンピックでは、いろんな感情がたくさんあって。本当に悔しかったり、本当に最高の気持ちだったり、いろんな気持ちを味わったんですけれど、いままで以上に、すごく充実した試合だったと思っています。
ショートでああいう結果になってしまって悔しかったんですけれど、自分の強い意志を持って諦めなければ、自分のめざしていることができるんだと改めて強く感じることができたので、今後の人生にいきてくるんだと思っています。
今後のスケート人生については、もう一つ試合が残っているので、まず世界選手権でショートもフリーも両方そろえたいです。ショーがその後にあるので全国のみなさんに感謝をします。その後に落ち着いて考えたいと思います。
--何パーセントですか。
うーん、いまのところハーフハーフ(五分五分)です。
--森(喜朗)さんのコメントについて聞きます。東京オリンピック委員会の会長として適切だと思いますか。
それを聞いた時は、終わった後だったので、「そんなこと言ってたんだ」なと思ったんですけれど。人間なので失敗することはありますし。しょうがないとは思わないけれど、自分も失敗したくて失敗しているわけではないので、それはちょっと違うのかなと思ったんですけれど。森さんはそういう風に思ったのではないのかなと思いました。
--森さんが、東京オリンピックまで会長として務めることに日本人は耐えられると思いますか。
私はなんとも思っていないですけれども、森さんがああ言う発言をしたことについて、すこし後悔をしているんじゃないでしょうか。