イギリスのニューカースル大学の研究者たちが、カマキリが独自に進化させた立体視覚を発見した、と考えている。研究チームは、この昆虫の中で起きる現象をできるかぎり精密に研究しようとし、そのために虫の目に3Dメガネを装着した。
上図のように、昆虫の目につけた3Dメガネは二色で、蜜蝋で一時的に接着した。そしてチームは、餌食となる虫のビデオを見せ、カマキリはそれに向かって突進した。その点に関しては、カマキリの立体視像の処理は人間のそれとほぼ同じ、と思われた。
しかし人間の3D視覚をテストするために使うドットパターンを見せると、カマキリの反応は違った。彼らの発見は、こう記述されている: "二つの目にそれぞれまったく異なる画像を見せても、カマキリは、変わっている部分のある場所同士をマッチできた。人間にはできないような場合にも、それができた"。
同大によると、その立体視覚の発見によって、カマキリは昆虫の世界で独特であることが分かった。またそれは昆虫だけでなく、猿や猫、馬、フクロウ、人間などそのほかの動物の立体視覚とも違った。カマキリの立体視覚の特徴は、二つの目の間に感受した動きをマッチングさせており、人間のように明るさを使っていない。
Vivek Nityananda博士はこう語る: "これをするほかの動物を私は知らない。このような種類の3D視覚は、現在にも過去にも例がない"。Nityanandaはさらに加えて、この種の3D視覚が過去に理論化されたことはあったが、実際の動物の中に検出されたのはこれが初めてだと思う、と言った。
このシステムは人間の3D視覚よりもそんなに複雑でない過程を経て発達し、カマキリのあまり複雑でない脳でも処理できるようになった、と科学者たちは信じている。そのことは、Nityanandaによると、3Dシステムをなるべく単純で軽量なマシンに実装しようとしているロボティクスにとって良いヒントだ。
彼は曰く、"それはずっとシンプルなシステムだ。カマキリは、両方の目の適切な位置における変化を検出しているだけだ。ロボティクスでは、二つの目の視界をマッチングさせるときに処理する複雑な細部よりも、変化の検出の方がずっと容易に実装できる。必要な計算力も少ない。それなら、はるかに軽量なロボットやセンサーにも組み込めるだろう。
画像提供: MIKE URWIN/NEWCASTLE UNIVERSITY, UK
[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)
(2018年2月10日「TechCrunch Japan」より転載)
【関連リンク】