アメリカの学校で長年続く伝統のイベントにも、多様性が広がりつつある。
ミズーリ州ロックブリッジ高校の生徒ザッカリー・ウィルモアさんは10月、同校で初めて男性としてホームカミングクイーンに選ばれた。
ホームカミングとは、卒業生らを招いてスポーツやダンスなどを楽しむイベントで、その一環としてクイーンとキングが選ばれる。
一般的にはクイーンは女子生徒から、キングは男子生徒から選出されるが、ウィルモアさんは今回クイーンに立候補して、見事栄冠に輝いた。
ウィルモアさんはチアリーディングチームにも所属しており、TikTokに投稿した動画には、名前を呼ばれて驚き喜ぶウィルモアさんに、仲間のチアリーダーたちが駆け寄って祝福する様子が映っている。
反抗で変化を起こす
ウィルモアさんは、TikTokアカウントに100万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーで、クイーンとキングのどちらで立候補するかは、SNSで投票してもらって決めたという。
「クイーンの方が、サッシュ(肩からかける飾り帯)が映えると言われたんです」「だからクイーンにしました」と、ミズーリ州のテレビ局KOMUに語っている。
ウィルモアさんはこれまでも、身近な世界をインクルーシブにするための活動をしてきた。
ウィルモアさんの情熱の一つはファッション。しかしショートパンツなど、自分の望むファッションが学校で注意されることもあった。
そこでウィルモアさんは、注意された服装をTikTokに投稿し、校則の服装規定に疑問を呈してきた。
「何が適切かを決めることが許されているのは先生たちです」「生徒を標的にできるとこれまで何度も感じてきましたし、自分自身が標的にされていると感じたこともありました」と、ウィルモアさんはKOMUに述べている。
SNSだけではなく、仲間の生徒たちと一緒になって、学校にインクルーシブな服装規定を提案してきた。
そういった活動が身を結び、ロックブリッジ高校は現在、服装規定を全ての生徒にとってインクルーシブなものにする方向で見直している。
ウィルモアさんはゲイの当事者でもある。NBCのインタビューで、LGBTQの生徒たちを含めた若者たちに、自分らしさを大切にして生きてほしいと伝えたいと述べた。
「私は、反抗は様々な形で変化を起こすということを伝えたいです」「そして、みんなに自分の望む格好をして欲しいと思っています。自分を表現する最も正直な方法ですから」
ウィルモアさんがクイーンに選ばれた1カ月前には、フロリダ州オーランドのオリンピア高校で、トランスジェンダーの学生が同校初のトランスジェンダーのホームカミングクイーンに選ばれている。