3月8日にクアラルンプールを離陸し、消息を絶ったマレーシア航空MH370便。オーストラリア西部のインド洋に墜落したとの見方が強まり、マレーシアとオーストラリアの政府が中心となって空からの捜索を行っていたが、4月28日で打ち切られた。「浮遊物の発見」や「衛星写真に写る影」など手がかりが幾度となく報道されたが決定的な情報には至らず、幕引きとなりそうだ。
日本からは延べ130人の自衛隊員と6機の自衛隊機が派遣され、オーストラリア政府が中心となる捜索チームに加わっていたが、打ち切りに伴い、5月1日をめどに帰国する。
マレーシア機をめぐっては小野寺五(いつ)典(のり)防衛相が3月11日、国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊の派遣命令を発出。自衛隊は同月下旬にはマレーシアからオーストラリアのパースに拠点を移し、インド洋で活動に当たった。自衛隊が派遣したP3C哨戒機やC130H輸送機は計46回、のべ約400時間の捜索活動を行った。
(MSN産経ニュース「【マレーシア機不明】自衛隊に撤収命令 豪、空からの捜索打ち切り」より 2014/04/28 20:01)
3月8日の失踪以来、テロの可能性や機長のプライベートに至るまで、さまざまな報道がされた。4月上旬、墜落した機体のブラックボックスの信号がオーストラリアの西方沖に出ているとされ、一気に捜索の対象となる範囲が狭まり、進展が期待されたが結局、成果はなかった。
今後は海底探索が中心となるが、莫大な費用と時間がかかるという。似た事例として、2009年に大西洋に墜落したエールフランス447便の事故では、事故から2年経ってフライトレコーダーが海底から回収されている。しかしこの事故でも、発生から一週間以内に遺体や機体の残骸が発見されている。
この際に使われたアメリカ軍の海底探査機が決め手になるのでは、とロイターは報じている。
米海軍は、機体回収への支援要請はまだ受けていないとしているが、専門家によると、エールフランス機事故でブラックボックスや遺体を引き上げた米海軍の探査機「レモラ6000」は数少ない選択肢の1つだという。
フェニックス・インターナショナル社が開発したこの無人探査機は、これまでも多くの深海探査に導入され、タイタニック号の調査などでもその能力を見せた。
しかし、エールフランス機は海底山脈の頂上付近にある平坦な場所で見つかった。インド洋の水深と地形から考えると、MH370便の回収作業はさらに困難が伴う可能性もある。
(ロイター「マレーシア航空:ブラックボックス発見で始まる「試練」、不明機回収は難航か」より 2014/04/10 17:56)
発見されるかどうかだけでなく、航空機の捜索を名目とした中国の軍事力アピールと、それを牽制する他国、という図式もたびたび報道される。
中国政府はマレーシアの対応を批判しまくる一方、国家威信をかけて、日本の自衛隊を含む26カ国の不明機捜索団に最多の艦船を送り込んだ。
ところが、観測衛星で南シナ海に浮遊物発見という初期段階の中国政府発表は、翌日にインド洋墜落の可能性ありとの米政府高官発言が伝えられて否定されてしまう。
焦点がインド洋の一定海域に絞られた後も、中国は別の所でブラックボックスの信号を捉えたと主張し、英艦が確認に走らされた末に間違いだと判明、ブラックボックスの電源が切れる間際の捜索時間を空費させた。米紙ニューヨーク・タイムズは「捜索活動の攪乱(かくらん)と遅延につながっているだけ」と手厳しい。
(MSN産経ニュース「【風を読む】マレーシア機不明…これが日本機だったら 論説副委員長・西田令一」より 2014/04/29 10:24)
小野寺防衛大臣もマレーシアのヒシャムディン国防省との会談で、中国への警戒を確認したとみられる。
会談で両氏は、東シナ海や南シナ海で海洋進出を活発化させている中国を念頭に、不測の事態を防止するため国際法を順守することが重要との認識で一致する見通しだ。
(MSN産経ニュース「【マレーシア機不明】自衛隊の貢献にマレーシアが謝意表明へ」より 2014/04/29 13:43)
消息を絶ってから2カ月弱。今後、進展は見られるのだろうか。
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