マララさんが呼びかける「トランプ大統領は難民キャンプ訪問を」

「難民キャンプにいる人々が困窮している。トランプ大統領がそれを理解することが大切です」
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Malala Yousafzai attends a ceremony after being selected a United Nations messenger of peace in New York, NY, April 10, 2017. REUTERS/Stephanie Keith
Stephanie Keith / Reuters

ノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の女性マララ・ユスフザイさん(19)が4月10日、ニューヨークの国連本部で女子教育の普及に取り組む「平和大使」に就任した。マララさんは最年少の就任となる。

マララさんは大使の任命式で11日、「女の子に教育を与えれば、コミュニティー全体に変化が起き、社会全体を変えることになります」と語った。「立ち上がらなければ、変化は訪れません。変化は私たちから始まるもので、今すぐ取り掛からなければなりません」

マララさんは、CBSで12日放送予定の「This Morning」に出演し、ドナルド・トランプ大統領に「難民キャンプを訪れてほしい」と呼びかけた。

マララさんは、「トランプ大統領は難民の子供たちを見に行くべきです」と語った。「トランプ大統領は難民キャンプを訪れるべきです。難民キャンプでの本当の暮らしがどんなものか、知る必要があります」

マララ・ユスフザイさんがトランプ大統領に宛てたメッセージ。「難民キャンプでの本当の暮らしがどんなものか知る必要があります」

トランプ氏は6日、シリア軍の化学兵器を使用した攻撃に対する措置として巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射する命令を出した。トランプ氏の主張によると、今回の攻撃は、戦争で荒廃したシリアで少なくとも民間人72人の犠牲者を生んだ、バッシャール・アル=アサド大統領による攻撃に対抗するものだという。

トランプ大統領は6日夜に攻撃を仕掛けた後、「アサド大統領は、無力な男性や女性、子供たちの命を奪った。多くの人々を長いこと苦しませた残酷な殺し方だった。この非常に野蛮な攻撃によって、美しい赤ん坊までもが無残に殺された」と発言した。「どんな神の子も、あのような恐怖を決して体験すべきではない」

しかし、シリアから逃れている500万人以上の難民に対するトランプ氏の姿勢は、ひいき目に見ても疑問が残る。トランプ氏はシリア難民のアメリカ入国を禁じる2つの大統領令を出したが、いずれも連邦裁判所から一時差し止められている。

トランプ氏はまた、シリア難民に関する誤った情報も繰り返し拡散している。彼らがアメリカに入国するのは「テロに関わる問題」であり、アメリカ人の生活を脅かす可能性があると主張している。

マララさんはCBSのインタビューで、「難民キャンプにいる人々が困窮している。トランプ大統領がそれを理解することが大切です」と語った。「私は難民に会ったことがあります。難民キャンプへも行ったことがあります」

■ マララさんの生い立ち

マララ・ユスフザイさんは1997年7月12日、北部山岳地帯のスワート地区(マラカンド県)に生まれた。父親のジアウディンさんは私立学校を経営する教育者で、マララさんもこの学校に通い、医者を目指していた。

同地はイスラム保守勢力が強く、07年には反政府勢力パキスタン・タリバーン運動(TPP)が政府から統治権を奪い、09年まで実効支配している。イスラム過激派 のTPPは女性の教育・就労権を認めず、この間、200以上の女子学校を爆破したという。

09年1月、当時11歳だったマララさんは、英BBC放送のウルドゥー語ブログに、こうしたタリバーンの強権支配と女性の人権抑圧を告発する「パキスタン女子学生の日記」を投稿。恐怖に脅えながらも、屈しない姿勢が多くの人々の共感を呼び、とりわけ教育の機会を奪われた女性たちの希望の象徴となった。

2012年10月9日、スクールバスで下校途中、武装集団に銃撃され重傷を負った。現地で弾丸摘出手術を受けた後、イギリスの病院に移送され、一命をとりとめたが、15歳の女子学生を狙い撃ちにしたテロ事件は、世界中に大きな衝撃を与えた。犯行声明を出した反政府勢力パキスタン・タリバーン運動(TPP)は、教育権を求める女性の「反道徳的」活動への報復であり、シャーリア(イスラム法)に基づくものとテロ行為を正当化している。その後女性の権利や女の子が教育を受ける権利を訴える活動家として国際的に有名になった。

2014年にはノーベル平和賞を受賞。マララさんが運営する「マララ基金」では、ヨルダンの難民キャンプで生活するシリア難民向けプログラムに資金を提供したり、レバノンにシリア難民の女の子のための学校を開設した。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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