9月6日 水曜日 天気:小雨 肌:潤いあり
映画「プラダを着た悪魔」のオープニングが好きだ。
見ていない人、覚えていない人は少しだけ想像してみてほしい。
軽快な音楽とともに、ニューヨークに住み働く女性たちの朝の準備が始まる。
シャワーから出てくる彼女たちのシーンがそれぞれ映し出される。
まずは、ブラをつけて、Tバックもゆっくり丁寧に履く。
黒いストッキングを履く動作でさえ、洗練されておしゃれだ。
次に化粧をするシーンに映る。
何十個ものリップから今日のひとつを選ぶ女性。
マスカラを念入りに塗っていく女性。
まるでパーティーに行く前のように準備する女性たちは、その行動一つひとつが美しい。
このシーンが私はとても好きだ。
なぜなら、シャワー浴びたてのノーメイク状態から
短期間のうちに、「女」になっていく様子がまざまざと伝わるから。
彼女たちがファンデーション、アイシャドウ、アイライン、リップ...と色を重ねていくとともに、
「自信」も身につけていく。あとは、扉を開いてタクシーを呼べばいい。それくらい外見も中身も完璧にして仕事に向かう。
それが美しくもあり、ウルトラマンの変身シーンをスローモーションで見ているようでワクワクする。
だから、私は何か特別なことがあった日にするメイクが大好きだ。
そのメイクは、おそらくコスプレに近い。
私は、それを「女性装」「女装」だと思っている。
憧れのものにどんどん近づいていく快感は、他のものにはなかなか代えられない。
特別な日に化粧をしている時だけ、魔法がかかったように自分に自信がつき、
何事もうまくいくのではないかと大きな勘違いをするほどだ。
しかし、メイクという武器、コスチュームを奪われた私は
無防備だ。会社に行く足取りが重いのもそのせいだろう。
化粧とともに身につけていた「自信」を服や仕事の仕方や美味しいランチなどで補っているつもりでもどこか物足りない。
すっぴんで会社に行くことに慣れていけば、私は楽な働き方が待っていると思っていた。
メイクする時間、メイクを直す時間、メイクを落とす時間すべてが短縮され、ゼロになり、
別のことに集中できる。それはいいことだ。
しかし、あの快感がやっぱり忘れられない。
男女平等、男と肩を並べて働く、バリバリ働く...。
生理痛も我慢してがむしゃらに働いていると、自分の性別が時々わからなくなる。
そんな時、メイクをする行為で確かめられる。
私は、今、「女」だって。
◇◇◇
ハフポスト日本版でエディターとして働く私(27歳)は、2017年9月いっぱいを「ノーメイク」で過ごしました。仕事も、プライベートも、あえてメイクを塗らないことで見えてきた世界を、1カ月間少しずつ書き留めていきました。これから平日朝7時ごろ、順次公開していきます。
ハフポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
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