「一体この音はなに?」
犯人は「ネモ」だった。フランスのエマニュエル・マクロン大統領の"ファーストドッグ"である黒い雑種犬が、10月21日、大統領官邸で開かれていた会合を非常に奇異なやり方で中断させた。
突然「催して」しまったネモは、こっそりと用を足すことができなかったのだ。
マクロン大統領はその時、経済省のバンジャマン・グリヴォー副大臣、国土省のジュリアン・ドノルマンディー副大臣、それに環境省のブリュヌ・ポワルソン副大臣の3者と会談中だった。
真剣な話し合いのさなか、ある音に全員の耳がそばだった。彼らの背後、室内の暖炉の近くで、マクロン大統領の「ネモ」が足を上げておしっこをしていたのだ。
フランスのテレビ局「LCI」のカメラがその様子を捉えていた。
「一体この音はなに?と思いましたよ」とポワルソン副大臣が吹き出しながら同僚に言う。「失礼、本当に珍しいことなんです」とマクロン大統領も笑いをこらえきれない様子だ。
「よくあることなんですか?」とドノルマンディー副大臣が冗談めかす。「ないです。あなた方は私の犬が、常ならぬふるまいに及ぶきっかけを作っくれたようですね」とマクロン大統領は、会合を再開する前にジョークを飛ばした。
2017年8月末に動物愛護協会からフランス大統領官邸に引き取られていたこの保護犬は、しつけに少々問題があると、以前女性週刊誌「Gala」も茶化し気味に報じていた。
「ネモ」は引き取りから数日後に開かれたドイツのジグマール・ガブリエル外務相との会談のまっ最中、ガブリエル大臣にじゃれつき、主人のマクロン大統領がお座りするように言っても聞かなかったのだ。