5月機械受注速報、2桁増で設備投資回復に期待【争点:アベノミクス】

内閣府が11日に発表した5月機械受注統計では、設備投資の先行指標となる国内民需が前月比2桁増、受注額は8000億円近くとなり、リーマンショック当時の08年10月以来の水準を取り戻した…
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Cargo cranes are silhouetted against a golden sky at the Osaka harbor and shipping complex in Japan.
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内閣府が11日に発表した5月機械受注統計では、設備投資の先行指標となる国内民需が前月比2桁増、受注額は8000億円近くとなり、リーマンショック当時の08年10月以来の水準を取り戻した。

製造業、非製造業ともに前月から回復、特に非製造業は鉄道車両の大型案件や金融機関のシステム改修などが寄与して大幅増となった。外需や官公需、中小企業代理店からの受注も万遍なく回復しており、4─6月の機械受注は5四半期ぶりに増加に転じる可能性が高まっている。今後の設備投資の回復基調に期待がもてそうだ。

5月の船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比10.5%増の7992億円となった。これは08年10月の8082億円以来の高水準。ロイターの事前予測調査での1.3%増の予想を大幅に上回った。前年比でも16.5%増だった。

製造業は前月比3.8%増で、水準はリーマンショック前に比較してまだ低いものの緩やかに回復傾向にある。非製造業はリーマンショック前の受注額水準にほぼ戻り、前月比は同25.4%増で比較可能な05年4月以降で過去最大の伸びとなった。

外需は同10.3%増、官公需は44.8%は最大の伸び、代理店も22.7%増と、軒並み大幅増加となった。

5月は大型案件は3件とさほど多くはない。民需では運輸業からの鉄道車両で200億円台の案件が1件のみ、その他は官公需と外需に1件ずつだった。

四半期の伸びを内閣府が試算したところ、6月の伸びが仮にゼロだとしても、4─6月は前期比7.8%増となる。前期比プラスとなるには、6月が前月比21%減より減少幅が小さければ実現可能。エコノミストの間でも「アベノミクス効果などが表れ、最終的に前期比プラスになると思われる」(三井住友アセットマネジメント)といった見方が多い。増加に転じれば、12年1─3月以来、5四半期ぶりとなる。

機械受注は、3月に大型受注が相次いだことで大きく伸びた後、4月はそのはく落で落ち込むといった振れの大きい展開になっていた。5月は予想を大幅に上振れ、2桁の伸びとなった。

円安により製造業の生産が回復傾向にあるほか、非製造業の業況も消費の底堅さや金融市場取引活発化に伴い好調に推移していることから、それぞれの業種からの受注も底堅さを維持している。今年度設備投資計画も、6月日銀短観によればしっかり上方修正されているが、機械受注が回復傾向を鮮明にしてきたことから、設備投資の本格回復の可能性も出てきた。

農林中金総合研究所では「多くの業種で底堅い数字となっており、設備投資の持ち直し基調が強まりつつあると捉えることは可能」とみている。

(ロイターニュース 中川泉;編集 田中志保)

*内容を追加して再送します。

[東京 11日 ロイター]