「男に似た選手と競うのは難しい」キャスター・セメンヤを批判した女子選手に非難集中

「私たちがどうにかすることはできないんです」

リオデジャネイロ・オリンピックの陸上女子800メートル決勝に出場し、6位に入賞したイギリスのリンゼイ・シャープが、金メダルを獲得した南アフリカのキャスター・セメンヤについて「ルールが変更されたせいで彼女と競うのが難しい」と発言し、非難を浴びている。

セメンヤは2009年の世界選手権で優勝した時、性別を偽っているのではないかという疑惑の目を向けられてきた。セメンヤは、医学的にはアンドロゲン過剰症と呼ばれる男性ホルモンの一種「テストステロン」のレベルが高く、一般女性の3倍あることが判明してから、注目と批判にさらされ続けてきた。

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リンゼイ・シャープ(中央)は、南アフリカ代表のキャスター・セメンヤを批判したことで、猛攻撃にあってきた。セメンヤは、20日の女子800メートル決勝で金メダルを獲得した。

国際陸上競技連盟(IAAF)は、アンドロゲン過剰症の選手は、自然と高レベルにあるテストステロンを抑える処置を取らない限り、競技への参加は認められないと定めた。

しかしスポーツ仲裁裁判所(CAS)はこれに同意せず、IAAFはアンドロゲン過剰症のランナーが、他選手に対して正確にどれほどアドバンテージを持っているのか証明する証拠を提出する必要がある、としている。

セメンヤは20日夜に金メダルを獲得し、シャープは6位に入った。

レース後、BBCのインタビューでシャープはこう述べた。「私はずっとこの問題を避けようとしてきた。この問題全体がどれほど感情的なものだったか、みなさん分かっているでしょう。他の人たちががどう思っているか、私たちは分かっています」

「私たちがどうにかすることはできないんです。この問題を解決するべきトップの人たちをどれだけ当てにしていることか」

「みなさんはルールが変更されたせいで、(他の選手にとって)それがどれほど難しいか分かるでしょう。でも、私たちにできるのはベストを尽くすことだけなんです」

シャープのコメントは、大勢の視聴者から怒りを買った。

#LynseySharpの、#CasterSemenyaについてのスポーツマンらしくないコメントに腹が立った。

「私たち」と「みなさん」を使い過ぎ。

これを見てみてよ。

#LynseySharpのこれまでには興味がない、ただ彼女のあのコメントはみっともないし、撤回されるべきだ。

リンゼイ・シャープ:「ルール変更のせいでセメンヤと競うのが難しい」

みんな「でもあなた6位だったじゃない」

キャスター・セメンヤがリンゼイ・シャープにとって問題だったのなら、なぜ彼女は2位じゃなく6位だったの

あなたは卑怯だよ。あの「トップの人たちが解決してくれたら」はちょっと惨めたらしい。

しかしシャープのコメントを擁護する人もいる。彼女はアンドロゲン過剰症について知識が豊富であると指摘している。

リンゼイ・シャープは、a)直接影響を受けた選手だ。また、b)アンドロゲン過剰症に関する論文を書いている。彼女は、キャスター・セメンヤの問題について完ぺきなコメントを出した。

シャープはBBCに、セメンヤを非常に尊敬しているが、自分のコメントは「率直だけど、意味があいまいだった」と釈明した。

シャープはまた、ツイッターに声明を投稿した。

「アスリートはいつも自分が達成する結果の上を目指して努力しようと考えます。昨夜はメダルを争う以外に、こうして激しく争うフィールドの中にある困難について失望していたかもしれません。でも、オリンピック決勝で、今まで自分が走ってきたよりも速く走るというのは、私にできた最良のことでした。私はこれまでの4年間、長い道のりをたどってきました。私はそれをとても誇らしく思っています。

セメンヤをとても尊敬してます。彼女には競技場でよく話しかけます。2008年からずっと、彼女のことを知っていて、彼女と競ってきました。メディアと政治は、彼女の功績から目をそらすべきじゃありません

生放送のテレビで質問された時、自分が率直だけど意味があいまいな返事をしたと感じました。この話題について、他のどのメディアからの質問に対しても、コメントを拒否しました。想像がつくと思いますけど、レースを終えて、自分の競争相手のパフォーマンスについて聞かれるのは、イライラするものなんです」

セメンヤに関するコメントで、シャープが物議を醸したのは今回が初めてではない。

2016年リオ五輪の前に、シャープはデイリー・テレグラフ紙に「明らかにテストステロン値が高い選手がいる」と話している。

「これは誰の目から見たって、女子800メートル競技が別々のレースになっていますよ。自分ではどうすることもできません」と、シャープは語った。

「明らかにテストステロンが多い選手を除けば、実際に競争し合えるんです。男性に似ている選手を抜かすのは難しいことです。大会主催者が何の対策もしないことが悔しいですね。私たちは最善を尽くして進化するしかないんです。

私にとって、そういった女性に対抗することは目新しいことではありません。2008年からずっとセメンヤと競争してきました。なので、自分にとっては何も新しいことではないんです」と、シャープは語った。

ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。

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