秋に起こる"肺"の不調を養生する

肺の不調や機能が弱まっている人は皮膚や顔色が「白い」とされています。

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気温が下がり、台風も起こる頃、徐々に夏から秋へと変化を感じます。季節の変わり目は早めに身体を自然の流れに調和させて、いつも穏やかで健やかな心身を整えておきましょう。

東洋医学における陰陽五行での「秋」

万物を構成する自然の五元素「木火土金水」で、秋は「金」と考えられています。自然界の中では「雲」の役割をしていて、空気や水分の循環とフィルターなどバリア機能を担っています。人の身体でいうと、肺や大腸と対応していて、呼吸や水分代謝・免疫機能に大きく影響しています。

季節の外因"邪気"

秋の長雨は"湿邪"としてだるさや傷や関節の痛みを引き起こしやすくなります。乾燥が始まる"燥邪"は身体が乾き、水が不足するため、肌の乾燥や発疹・じんましん、肺がダメージを受けやすく、せきや呼吸器の症状が目立つようになります。

肺の働きと不調の現れ

肺は全身のすみずみまで"気"や"水"をスムーズに巡らせる重要な役割。新鮮な気を吸い込み、汚れた気を吐き出します。気が広がらないと体表面のバリア機能が弱まり「第3の肺」である皮膚にも不調が現れます。

鼻水・せき・たん、しっしん・アトピー、アレルギー喘息・気管支炎・呼吸障害・息切れ・ゼーゼーする呼吸などの呼吸器症状やアレルギー疾患や風邪をひきやすくなるなど免疫機能の低下としても現れます。

肺を傷める感情

中国最古の医学書『黄帝内経』には「憂傷肺=憂(悲しみやうつの状態)は肺を傷める」と記述されています。

現実を受け入れられない時、「憂」が起こります。肺気が不足し、不安定な時は喪失感を伴った悲しみが続くと、思考が鈍り、感情が起こらなくなったように感じたり、悲しみを表現できないようになることも。

素晴らしい景色などを見た時は、大きく胸を開いて気持ちの良い呼吸をしたくなります。肺が健やかで、すみずみまで気が流れている時は、美しいものに感動して思わず涙するような素直で純粋な感情です。自分以外のものとつながり、受け取り満たされている時は、忍耐も喜びとして、粘り強く向き合う能力となり、自分を信じる力になります。

薬食同源で肺を養生する

陰陽五行の「金」に対応する色は「白」。肺の不調や機能が弱まっている人は皮膚や顔色が「白い」とされています。

薬食同源の考え方では、基本的に"旬の食べ物""土地のもの"が良いとされ、この時期に肺を養う食材は"白"や"辛"みのあるもの。大根、ねぎ、れんこん、かぶや、ミソ、ニンニク、生姜、パクチー、秋に収穫を迎える米などです。

ヨガの智恵で内側からキレイに

内臓とつながる体表面にある経絡では"手太陰肺経"(腕の付け根から内側へ手の親指まで流れるライン)を刺激するポーズを多く取り入れて、肺に働きかけます。

通常、人は肺の3分の2しか使わずに呼吸をして生活をしているそうです。肺の全部を使って、内臓から深くてゆったりとした呼吸をするヨガの呼吸では、神経細胞など微細な心身の滞りや老廃物を浄化して、新鮮なプラーナ(気)を巡らせていきます。

呼吸に影響する喉にある第5チャクラ(ヴィシュダチャクラ)は甲状腺、コミュニケーション能力やクリエイティブな表現力、ユーモアや対応能力を意味します。言いたいことを言えないでいる時や声が小さかったりどもったり、咳やたんなど喉の不調は第5チャクラが弱っています。

マントラ(真言)を唱えたり、肩立ちのポーズ(サルヴァンガ・アーサナ)やすきのポーズ(ハラーサナ)などの逆転、ウジャイ呼吸などで喉を強くクリアに、内側で湧き上がるものをより感謝や幸せに満ちた表現で伝えられるように自分が発する言葉(言霊)を意識してみましょう。

参考文献:

・佐藤弘・吉川信著 『いちばんわかりやすい 東洋医学の基本講座』 (成美堂出版)

・仙頭正四郎監修 『図解 東洋医学 基本としくみ』 (西東社)

・サラ・パワーズ著 『陰ヨガの新しい教科書 Insight Yoga』(アンダー・ザ・ライト)

Lealtaライター:Akko(ヨガインストラクター)

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