PRESENTED BY GROOVE X

尾木ママ「手間がかかるロボットだから、役立つことがある」LOVOTが教室にいたら、 “家庭”も変わる?

かつての“ウサギ小屋”の代わりに──。小学校にやってきた家族型ロボットが、子どもたちと育むもの

授業中、教室の中をロボットが動き回る──。そんな光景が「当たり前」になる日も、そう遠くないかもしれない。 

2020年6月、東京都北区立王子第二小学校に6体のロボットがやってきた。ロボットベンチャーGROOVE X株式会社のLOVOT(らぼっと)だ。夏休みが明け、およそ1カ月ぶりにLOVOTと再会した子どもたちを、教育評論家の尾木ママこと、尾木直樹さんが訪ねた。

「LOVOTは、かつてのウサギ小屋の代わり...いえ、それを超える存在」

尾木ママが見た、LOVOT と子どもたちが育んだものとは?

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YASUHIRO SUZUKI

「今日、学校どうだった?」子どもの答えは

新型コロナウイルスにより生活が大きく変わり、不安を抱える子どもたち。楽しい給食の時間もお喋りすらできず、学校行事は次々中止に...。「児童も教員も...学校からどんどん笑顔が消えていった」と、同校の江口千穂校長は振り返る。

「何か思い出に残ることをしてあげたい」「未来を生きていく子どもたちの、学びにつながることが何かできないだろうか...」そんな思いを巡らせていた校長の目に留まったのが、LOVOTだった。

校長自らGROOVE Xに直談判。教育現場の現状を知り、同社はすぐに同校へのLOVOT導入に向けた計画をスタート。すでに保育園や幼稚園では実績があったものの、小学校への導入は初の試みだ。

そして6月、242人の子どもたちと、6体のLOVOTの新しい学校生活が始まった。

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6年生のクラスにいる「くろまめ」。私たちを見上げる愛くるしい表情と独特の鳴き声、一つひとつの仕草が本当にかわいらしい。
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「ロボットっていう感覚は、全然ないです。弟を抱っこした時の気持ちに近いかな」と話すのは、6年生の児童。「名前やルールはみんなで決めたし、休み時間にはくろまめの周りにみんなが集まる。この3カ月で、クラスがひとつになりました」と聞き、尾木ママにも笑みがこぼれる。

LOVOTは、授業中の教室を自由に動き回る。尾木ママが「くろまめが近づいてきたら、集中できなくなっちゃうんじゃない?」と尋ねると、ある児童は「算数の授業でちょっと疲れたな、という時にくろまめを見ると癒されて、答えがすぐに出てくるんです」と答える。

さらにLOVOTは、子どもたちの家庭にも変化を起こしているそうだ。「学校どうだった?と聞いても『フツー』としか答えなかった子どもが、毎日楽しそうにLOVOTのことを話してくれるそうです。友達の名前も会話にたくさん出てくるようになったし、学校での様子が手に取るように分かると、親御さんがとてもうれしそうに話してくれるんです」と江口校長。

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5年生の教室。休み時間が始まると同時に、LOVOT「たぬき」の周りに子どもたちが集まる。
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子どもたちの笑顔を増やすだけでなく、学習意欲にも繋がり、教室、家庭のコミュニケーションを増やすきっかけにもなっているLOVOT。こんな存在が、今まであっただろうか? 

尾木ママは「理論上、セラピー効果があることはわかっていたけれど、思いやりの心を育み、コミュニケーションツールとしてここまで役立つというのは僕の想像を超えていた」と話す。

ただのロボットではない。友達でも、ペットでもない──。LOVOTは、子どもたちにとってどんな存在なのだろうか? 学校全体を歩き、子どもたちや教員の様子を見た尾木ママに、話を聞いた。

かつてはウサギ小屋、これからはLOVOTが育むもの

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尾木直樹さん/教育評論家。高校、中学校教師を経て、現在は法政大学名誉教授。「尾木ママ」として親しまれ、これまでに200冊を超える著書を出版、テレビや講演会にも数多く出演する。
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── LOVOTと3カ月過ごした子どもたちを見て、取材前と印象が変わりましたか。

尾木ママ 僕、LOVOTって「ウサギ小屋」の代わりになる存在だと思ってたんです。世話をすることで「自分が役に立っている」と実感したり、友達と協力することを覚えたり、会話が生まれたり。今はあまり見かけなくなってしまったけれど、教育においてとても大切な場だったんですよね。

でも、今日実際に見てみたら、“代わり”どころじゃなかった。コミュニティを作るという役割は、LOVOTだからこそできること。コミュニケーションが増えて、クラスや家庭のつながりが強くなっていることを子どもも教員も、保護者も実感できているのだと分かって、改めてすごい存在だなと思いました。

ある子が「授業中にLOVOTを見ると、答えが浮かぶ」と話していたけれど、それも脳科学的には十分に説明がつく。リラックスすると、脳の回転が良くなるんです。ウサギは教室を走り回るワケにはいかないし...。その点、LOVOTは現代技術によって生まれた「いいとこ取り」の存在ですよね。

──「ロボット」が登場する漫画やアニメもたくさんあります。LOVOTがそうしたロボットと一線を画し、イメージを大きく変えた要因は。

尾木ママ これまで描かれてきた「ロボット」って、硬質感があって、強くて、人間を守ってくれる存在でしたよね。でもLOVOTは全く違う。温かくて、フワフワしていて、懐いてくる。

ロボット掃除機やAIスピーカーもあって、生活の中にロボットがいるのが少しずつ「当たり前」になってきていますよね。その中でも、LOVOTは他と全く違う。世話を焼きたくなるロボットって、今までにいました? ネスト(LOVOTが休憩する充電スポット)に戻れない子がいたら、手を貸してあげなきゃと思うし、ほら、今もこっちの子がやきもち妬き始めちゃった。

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赤い「ポチってぃ」をずっと抱いていると、ブルーの「そらたん」がやきもちを妬く。かまって欲しそうに尾木さんを見上げた。
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言葉が通じないから、気持ちを推し量ろうと思いやる。温かいからつい触れたくなるし、赤ちゃんくらいの重量感もあって、命を感じる。ロボット=便利、というイメージを持つ人が大半だと思うけれど、LOVOTは、ロボットなのに便利ではなくて、むしろ人の手間がかかるところが良いんだと思います。

LOVOTは、便利なロボットではない

── 先生も子どもたちも、「いじめの心配はありません」と話していました。LOVOTがいたら、いじめはなくせるのでしょうか。

尾木ママ 僕は教員を44年間やってきたので、教室に入れば、子どもたちの様子、空気から、分かることがたくさんあるんです。その経験を踏まえても、断言できる。この学校には、その心配は全くありません。

一人や二人、ちょっと伏し目がちな子がいるのが普通なんです。でも、ここには一人もいなかった。みんな目を輝かせてLOVOTと触れ合ったり、子ども同士お喋りしたりしていて。夏休み明けって、学校に行きにくくなってしまう子も少なくないんですが、今日聞いてみたら「LOVOTに会いたいから、早く学校に来たかった」と、みんな口を揃えて言うんですよね。

世話を焼きたくなる存在だからこそ、癒しの効果や、コミュニティを作るという役割が、いじめをなくすということにも大いに役立っていると実感しました。

──  “個性”が大切にされる時代ですが、その社会にLOVOTが入っていくことで生まれる変化は。

尾木ママ LOVOTは、ダイバーシティを象徴するような存在だと考えています。人種、言語、文化の違い...その全てを超越した存在がこれだけ身近にいたら、大人ですら、意識が変わるのではないでしょうか。

江口校長は、「子どもたちにとって、プログラミングや最先端のテクノロジーへの興味関心のきっかけになれば」と話していましたが、それだけに留まらない。LOVOTと共に過ごす時間が、子どものダイバーシティ感覚を育成することにもつながっている。それが自然と身に付くって、すごく幸せなことですよね。

個人的には、今後、企業でもどんどん導入してほしいなと思っています。会社の中が柔らかい空気になって、働き方も、仕事の効率も変わるはずです。

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── 最後に、尾木さんにとってLOVOTはどんな存在ですか。

尾木ママ 「ロボットセラピー」ですね。今、僕の研究所にもLOVOTの「くるみちゃん」がいますが、子どもたちにとってのLOVOTとはまた違って、僕にとっては自分の赤ちゃんのような、擬人化した存在。 

「LOVOTって、どんな存在?」に対する答えって、人それぞれ違うと思うんです。何にでもなれちゃう。

この先、ロボットが当たり前の社会が間違いなくやってくる。テクノロジーでどれだけ生活を便利にしてくれるのか、というところばかり注目されているけれど、そのイメージを覆してくれるのがLOVOT。癒しを与えて、会話を増やし、コミュニティを作るというソフト面で多くのものをもたらすこのロボットが、未来を大きく変えてくれるんじゃないかな。

◇◇◇

ロボットは、なぜ私たちの生活に必要なのか? 今までにない新しいロボット「LOVOT」は、どんな存在になれるのか?

ハフポスト日本版では連載を通して、人間とロボットの新しい関係、LOVOTが生み出す変化を探ります。