ロッテグループでお家騒動が起きている。日本では大手菓子メーカーの「ロッテ」や外食産業などを手がける一方、韓国では財閥企業の1つとしてより幅広い事業を展開しているのだが、創業者の重光武雄氏(92)の後継者をめぐって長男と次男が日本と韓国を舞台に争いを繰り広げている。
日本事業の持ち株会社「ロッテホールディングス(HD)」は7月28日の取締役会で、武雄会長の代表権をなくし、名誉会長に据える人事を決めたと発表した。
ロッテHD関係者によると、副会長を解任されていた長男の宏之氏(61)が27日、高齢の武雄氏を韓国から連れ出してともに東京・新宿の本社を訪れ、次男の昭夫副会長(60)を解任すると社員らを集めて伝えた。しかし、昭夫副会長が主導する取締役会は28日、その効力を認めず、「再発防止のため」として創業者の人事を決めたという。
(中略)
日韓をまたぐ企業グループのロッテは長く「兄弟分業」を続けてきたが、ロッテHDは1月、副会長だった長男を解任。今月には副会長の次男に代表権を与えた。日韓両方の事業を次男が一手に担う体制を敷いていた。武雄氏は、韓国のロッテグループの総括会長は続ける。
(ロッテ創業家、骨肉の争い 「再発防止」父の代表権外す:朝日新聞デジタル 2015/07/28 22:26)
武雄氏の祖国、韓国では、この「お家騒動」が高い関心を集め、連日マスコミをにぎわせている。
ソウルに滞在する武雄会長は2日、次男の昭夫副会長側に対し、「70年間ロッテグループを育ててきた父である自分を排除しようとすることは全く理解できず、許すことはできない」などと批判する映像を公開。聯合ニュースなどによると、武雄氏は昭夫氏を、ロッテHDの代表と韓国ロッテグループ会長に「任命したことはない」として「いかなる権限も名目もない」と強調した。
また、長男の宏之氏は2日、韓国SBSテレビのインタビューに応じ、ロッテの経営をめぐり激怒した武雄氏が7月に昭夫氏を殴る一幕もあったと発言した。
一方の昭夫氏は3日、日本からソウルの金浦空港に到着。「国民の皆さまにこうした事態が起こったことに対し、大変申し訳ないと思っている」と謝罪した。昭夫氏はその後、武雄氏とソウル市内のロッテホテルで約5分間、会談。武雄氏が激怒し不調に終わったとの情報もある。
■日本で創業したロッテ、韓国では第5位の財閥
ロッテは、武雄氏が1948年に東京で創業し、日韓国交正常化後の67年に韓国へ進出。日本では製菓メーカーや千葉ロッテマリーンズのイメージが強いが、韓国ではホテルや百貨店、石油化学など幅広い事業を展開しており、サムスンなどに次ぐ第5位の財閥だ。
韓国での事業は1990年代から昭夫氏が担っており、韓国財界の著名人となっている。「韓国ロッテの売上高が日本のロッテの20倍であり、経営規模の格差が経営継承に大きく作用した」という分析もある。
韓国メディアは「前近代的な財閥経営だ」「ロッテは国民を愚弄している」などと指摘しているという。
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