新型コロナと闘っていたニューヨークの医師、自らの命を絶つ。「彼女もまた、犠牲者」父が悲しみを語る

自身も新型コロナウイルスに感染。しかし1週間半で職場に戻ろうとしていた

新型コロナウイルスの最前線で闘っていた医師が、自らの命を絶った。

アメリカ・バージニア州シャーロッツビルの警察は、ニューヨーク在住のローナ・ブリーン医師が4月26日に亡くなったと明らかにした

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病院のウェブサイトに掲載されている、ローナ・ブリーン医師の写真と肩書き
© 2020 Columbia University

ブリーン医師は、ニューヨーク・マンハッタンにあるプレスビテリアン・アレン病院の緊急治療科主任として働いていた。

通報を受けて警察が駆けつけ、病院に運ばれたが、自傷行為による怪我のために亡くなったとシャーロッツビル警察は説明する。

「前線で働く医療従事者や初期対応者たちも、このパンデミックがメンタルや身体に与える影響から逃れることはできません」

「彼らは日々、大きな重圧の下で働いています。新型コロナウイルスは、彼らにさらなる重圧を加えています」と、ラシャル・ブラックニー警察署長はコメントする。

■彼女もまた、犠牲者だ

ブリーン医師の父、フィリップ・ブリーン氏は「娘は自分の仕事をしようとしていました。そして、その仕事のために亡くなりました」とニューヨークタイムズに語る。

フィリップさんによると、ローナさん自身も新型コロナウイルスに感染した。しかしわずか1週間半の病み上がりの状態で、仕事に戻ったという。

病院から自宅に戻るように言われたローナさんを、家族がシャーロッツビルに連れてきたとフィリップさんは説明する。

フィリップさんはローナさんから、次々に患者が運ばれる様子を聞いていた。中には、救急車から降りる前に亡くなった人もいたという。

最後に話した時、ローナさんは心あらずの様子だったフィリップさんは振り返る。

「娘は闘いの最前線に置かれてました。彼女はヒーローとして讃えられるべきです」

「新型コロナウイルスで亡くなったそのほかの人たちと同じように、彼女もまた犠牲者です」

■いつも周りを気遣う医師だった

ローナさんの同僚は、ローナさんが新型コロナウイルスと闘っている医療者たちのことをいつも気遣っていた、とニューヨークタイムズに語る。

新型コロナウイルスに感染して自宅で療養している時でさえも、同僚にメッセージを送って彼らの様子を確認していたという。

ローナさんが勤務していた病院は、ブリーン医師を失った悲しみを言葉にできない、とコメントした。

「ブリーン医師はヒーローです。医療の最高の理想を、闘いの最前線である緊急治療部門で追い続けていました」

アメリカ疾病予防管理センターによると、アメリカではこれまでに95万人以上の新型コロナウイルスの感染が確認されている。その1/4を超える28万人以上の感染がニューヨーク州に集中している。 

自死を少しでも考えてしまう人や、周りに悩んでいる方がいる人たちなどに向けて、以下のような相談窓口があります。

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