名前しか知らないけど「会いたい」 大学生が「ニコール」246人にメールを送った結果…

予想だにしていなかったことが起きました

Tinderなどのデートアプリで、簡単に"出会える"時代。だからこそ、真剣にお付き合いできる相手と出会うのが難しい一面もある。

デートを止めてしまう人もいれば、そんな相手と出会うために、全力を尽くす人もいる。

カナダのカルガリー大学に通うカルロス・ゼティーナさんは後者だ。

9月初めの木曜日、ゼティーナさんはキャンパスのバーで、ニコールさんという女性に出会い意気投合した。ゼティーナさんはニコールさんと彼女の友人を自宅まで送った。そしてニコールさんは、ゼティーナさんに自分の電話番号を渡した。ところがニコールさんはゼティーナさんに伝えた番号が、間違えていた。

ニコールさんと連絡を取れなくなったゼティーナさん。なんとか連絡を取りたいと考え思いついたのが、カルガリー大学に通うすべてのニコールさんにメールを送ることだった。

ゼティーナさんはニコールさんの名字を聞いていなかった。そこで、大学のメールアドレスの中からニコールという名前の人だけでなく、ニコレットさんやニッキーさんなど、ニコールと呼ばれそうな名前の人にもメールを送った。その数なんと246人。メールは生徒だけでなく、教授や副学部長にも送られた。

メールを送った理由を「返事をしない嫌な奴だと思われたくなかったから」とゼティーナさんは話す。

メールにはこう綴られた。

「件名:昨夜、出会った者です。君からもらった電話番号間違っていたみたいです。

これは、全てのニコールさんに宛てた一斉メールです。もしここに書かれている内容に心当たりなければ、無視してください。また、該当するニコールさんだとしても、僕と話したくないのであれば、無視してくださってOKです。

もしあなたの名前がニコールで、オランダ出身で、ニーチェは気が滅入ると思っていたら、この電話番号にメッセージ下さい。僕は、昨夜君と君の友人を家まで送ったカルロスです」

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TWITTER / NICOLE MACMILLAN

メールを受け取ったカルガリー大学のニコールさんやニコレッタさんたちは、受信した途端にメールでお互いに連絡を取り始めた。心理学部のニコール・マクミランさんは、その時のことをこう思い出す。

「一人がグループに、『私たち250人みんなが、彼にあなたが探してるニコルだと伝えた方がいい?』と尋ねて、そこから一気に議論が盛り上がりました」

会話はすぐにSNSでも広がった。メッセージを受け取った一人、ニコール・デュグレーさんが「昨夜出会ったニコール」というFacebookグループを作ると、メンバーは80人にもなった。そして翌日、ニコールさんたちはダウンタウンのバーに集まった。

ゼティーナさんがどうやって全ニコールさんのメールアドレスを調べたのかわからないが、マクミランさんは「我々ニコールチームは、送信先にNicoleと打ったのではないかと推測しています」と話す。

大学のメールは、一文字を打つと名前の候補が自動的に出てくるシステムになっている。ゼティーナさんはそこから「全員」を選んだのではないかと、ニコールチームは考えている。

ニコールさん、集結

フェミニストメディア学博士候補生のニコレット・リトルさんは、金曜日の朝に目覚めるとメッセージがたくさん届いているのに気がついた。

ニコール探しメールのことを聞いた友人や、同じニコールという名前で、たまたまスペインにいたカルガリー大学の友人たちからの連絡だった。

メッセージの内容は「本物のニコールさん、手をあげて」「同じニコールさんと、挨拶したいです」「ニコールという名前で、こんなにハッピーな気持ちになったのは初めて」など、様々だった。

リトルさんはその後ニコールの集まりに出席して、15人のニコールさんやニコレットさんと知り合いになった。「すごく不思議な気分でした。私たち一緒に飲むために集まったんだけれど、奇妙なことにどこか似ていたんですよね。すごく変な感じでした」

マクミランさんによれば、同じバーにいた人たち全員が、ニコールを巡るストーリーを気に入ってくれた。ニコールさんたちが自分たちのテーブルのウェイターに話し、そのウェイターが他のウェイターに伝え、ついにマネージャーまで出てきて、ニコールさんたちと話をしたそうだ。

謎のニコールさん、身元が判明する。

そして、強力なニコールネットワークのおかげで、ゼティーナさんが探していたニコールさんがついに見つかる。

ゼティーナさんが探していたニコールさんはオランダからの交換留学生で、カルガリー大学のメールアドレスを持っていなかった。だからニコールさんたちが集結したことが、二人の再会を助けた。本物のニコールさんは、Facebookにこう綴っている。

「ニコールさんたちへ

私はオランダ出身の交換留学生で、昨夜カルロスに家まで送ってもらい、ニーチェはすごく気が滅入ると思っているニコールです!カルガリー大学のメールを持っていないから、素敵なメールを受け取れませんでした。だけど強力なニコールネットワークのおかげで、連絡を取ることができました。

皆さんにいつか会いたいです!」

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FACEBOOK

ニコールさんがカルロスさんに間違った番号を渡したのはうっかりミスであり、わざとではなかったことを確認してから、マクミランさんらニコールさんたちは、二人をつなげた(本物のニコールさんはカナダの電話番号を1週間しか持っておらず、電話番号を覚えていなかった)。

この一件がきっかけとなってできたニコールの会は、もう一度開催される予定であり、本物のニコールさんも参加するという。全員、ニコールさんに会うのをすごく楽しみにしているそうだ。

全手のニコールさんにメールを送るというゼティーナさんのやり方に疑問を持つ人もいたが、多くのニコールさんは彼の勇気に感銘を受けたという。「女性を探すための方法として、私が知っている中で最も野心的」とマクミランさんは言う。

またニコール・ラーセンさんは、「素敵なラブストーリーの一部になれて幸せだった」と話す。「まるで、シンデレラストーリー。私は、意地悪な義理の姉妹になるわけだけれど」

そしてニコールさんからついにメッセージをもらえたゼティーナさんは「来週、一緒に出かける予定です。だけどこんなに大ごとになるなんて、全然思っていなかった」と話す。

幸せになれたのはゼティーナさんだけではない。ニコール探しに巻き込まれたニコールさんたちのうち何人かは、攻撃されがちなネット上で、こんなポジティブなやり取りができたこと、新しい女友達ができたことを嬉しく思っている。マクミランさんはこう語る。「こんなにたくさんの、親切で優しいニコールさんがいたことが知れてよかったです」

ハフポストカナダ版の記事を翻訳しました。