ロンドン国会議事堂テロ事件に揺れるイギリス、最近の襲撃事件

過去12年間にイギリスを襲った過激派による主要な襲撃事件について、最近のものから一部を紹介する。
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A woman ducks under a police tape after an incident on Westminster Bridge in London, March 22, 2017. REUTERS/Toby Melville
Toby Melville / Reuters

ロンドン警視庁は、3月22日にウェストミンスター橋で通行人をはねたのち、国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)で警官を刃物で刺した襲撃事件をテロリストによる犯行とみて、捜査を進めている。襲撃犯を含む少なくとも5人が死亡し、少なくとも20人以上が負傷した。

イギリス政治の中核で、極めて交通量が多いロンドンの中心部を狙ったこの事件は、2005年に発生したロンドン同時爆破テロ以来の大惨事となった。事件現場の封鎖が続いている一方、警察はこの事件や犯人とみられる人物についての情報を収集している。

ここ数年ヨーロッパでは、フランス、ベルギー、ドイツといった国々が大きな襲撃事件に見舞われているが、イギリスでは大規模なテロ事件が発生していなかった。しかしイングランドに限っては、過激派の攻撃を完全に免れていたわけではなく、2013年以来、十数件以上のテロ未遂事件があった。また、単独犯による複数の殺人や襲撃事件も起きている。

過去12年間にイギリスを襲った過激派による主要な襲撃事件について、最近のものから一部を紹介する。

2005年 ロンドン同時多発テロ事件

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2005年7月7日、爆発を受けて破壊された系統30の2階建てバス。DYLAN MARTINEZ / REUTERS

2005年7月7日、ロンドンで発生した複数の自爆テロにより、52人が死亡し、770人以上が負傷した。実行犯はロンドンの交通輸送システムを狙い、午前9時頃、ロンドン地下鉄トンネルの3カ所でリュックサックに隠していた爆弾を爆破させた。それから約1時間後、4人目の実行犯が2階建てバスで自爆した。

この事件はイギリスで史上最悪のテロ攻撃だった。アルカイダと繋がりのあった実行犯のイギリス人4人が、爆破事件を起こしたと明らかになった。7月21日にも似たような事件が起こり、地下鉄の駅3カ所とバスで不発弾が見つかったが、未遂に終わった

2013 リー・リグビー氏殺人事件

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リー・リグビーさん殺害現場で花束を捧げる通行人たち

2013年5月22日、ロンドン南東部ウーリッチで、イギリス陸軍兵のリー・リグビーさん(25)がテロ攻撃を受けて殺害された。犯人2人は、陸軍兵宿舎の外の路上でリグビー氏を車ではねたうえ、刃物で切りつけ斬首しようとした。たまたま通りかかった人が襲撃の事件現場を目撃し、恐怖に震える様子も動画に映っている。

犯人は20代のイスラム過激派のイギリス人で、「戦争行為としてリグビーを殺害した」と発言した。2人は事件現場で逮捕され、のちに殺人罪で有罪となった。この襲撃事件はイギリス全体に衝撃をもたらし、リグビーさんに対する追悼が数多く捧げられた。

2015年 レインストーン駅で刺傷事件

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2015年12月7日、ロンドン東部の地下鉄レインストーン駅の外で、見張りをする警察官。TOBY MELVILLE / REUTERS

2015年12月6日、ロンドン東部の地下鉄「レインストーン」駅で、複数人が切りつけられる襲撃事件があった。妄想型統合失調症と診断された、タクシー運転手のムヒディン・マイア容疑者(30)は地下鉄構内の通行人を無差別に切りつけたが、あとで「シリア領内を空爆する欧米への復讐だ」と動機を説明した。

この襲撃事件の映像では、通行人がマイア容疑者に対してナイフから手を離すよう叫ぶ声が録られていた。1人の男性が「お前なんかイスラム教徒じゃないぞ、兄弟!(You ain’t no Muslim, bruv!)」と叫ぶのが聞こえる。Twitterではこのフレーズが話題となり、マイア容疑者の行為がイスラム教の信仰に基づくものではなかったことを強調するのに使われた。

マイア容疑者は、殺人未遂のほか暴行未遂に関する複数の容疑で有罪判決を受けた。2人の医師が精神鑑定したが、襲撃事件の原因がマイア容疑者の精神状態なのか、それともイスラム過激派の思想なのかで意見が分かれた。

2016年 ジョー・コックス下院議員の殺人

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バーストールの犯行現場に非常線を張って警戒する警官たち

極右思想のトーマス・メア容疑者(53)は2016年6月16日、ヨークシャー州バーストールで下院議員のジョー・コックス氏を銃で襲撃し、刃物で刺して殺害した。この襲撃事件は2016年、EU離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票に向け、国内での緊張が高まっている最中に起きた犯行だった。メア容疑者は犯行前に「ブリテン・ファースト(イギリスが一番だ)」と叫んだり、移民排斥のスローガンを叫んでいたという。コックス氏は移民賛成派で、イギリスのEU残留を求める残留派の賛同者でもあった。

警察はメア容疑者の家宅捜索でナチスを連想させる所持品を発見した。のちにはメア容疑者が極右団体や白人至上主義組織とネット上で繋がっていたことも明らかになったメア容疑者は、責任能力があると医師から判断され、殺人容疑で終身刑を宣告された。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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