3分で分かるイギリスの立ち位置。ロンドン市長「EU離脱支持」を表明

ただ、ジョンソン氏は、本気で離脱を支持しているというわけでもないようだ。
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21日、ロンドンの自宅前で取材に応じるボリス・ジョンソン市長

イギリスがヨーロッパ連合(EU)離脱を問うため6月23日に実施する国民投票をめぐり、ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏が「離脱」を支持すると表明した。

イギリスで人気の高い政治家の一人で、与党・保守党の有力メンバーでもあるジョンソン市長が離脱支持を呼びかけたことで、EU残留を呼びかけるキャメロン首相の今後の戦略に障害となりそうだと、Bloombergは伝えている。

ただ、ジョンソン氏は、本気で離脱を望んでいるというわけでもないようだ。

ロンドン市内の自宅前で2月21日、報道陣の取材に応じたジョンソン氏は、「この国の国民に、よりよい取引となってほしいからだ」と述べ、仮に国民投票で離脱賛成が上回った場合でも、キャメロン首相はEUにとどまるべきだとの考えを示した

イギリスでは、反移民を掲げて躍進するポピュリズム政党・イギリス独立党(UKIP)などが、EUからの離脱を主張している。ジョンソン市長は、こうした勢力と連携することも、テレビ討論などで同じ保守党政治家と離脱の是非を論争するつもりもないとした。

ジョンソン氏の狙いは、強硬な反EU世論を背景に、EUを牽制するのが狙いとみられる。デイリー・テレグラフ紙が22日付で掲載した寄稿で、ジョンソン氏は以下のように述べた。

私たちが求める変化を得るには、一つの道しかない。それは投票に行く(=「離脱票を投じる」)ことだ。すべてのEUの歴史が示す通り、EUが本気で耳を傾けるのは、その国民が「NO」と言ったときだけだ。根本的な問題が残っている。EUが掲げる理想は、私たちとは相いれない。EUが造りたいのは、ほとんどのイギリス国民が望まない、真の連邦国家、合衆国なのだ。

Boris Johnson exclusive: There is only one way to get the change we want – vote to leave the EU - Telegraphより 2016/02/22 06:55)

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イギリスは1973年に当時のヨーロッパ共同体(EC)に加盟したが、1999年に導入されたヨーロッパ単一通貨「ユーロ」は使わず、入国審査なしで人の移動を認める「シェンゲン協定」にも参加していない。ドイツやフランスを中心に、共通の法制度導入や各国政府からの行政権の委譲など「欧州統合」を進めるEUに対し、島国のイギリスは一歩距離を置いて慎重な姿勢で一貫しており、これまでもEU離脱の是非がたびたびイギリス政治の焦点になってきた。

今回の国民投票は、キャメロン首相が2013年1月に「2017年までに実施する」と公約していた。ギリシャの財政危機などをきっかけに、EU内で財政力のある国(ドイツ、フランス、イギリスなど)と、新たに加盟した東ヨーロッパ諸国など財政力のない国の域内格差が大きくなり、EU内で「豊かな国が貧しい国を助けている」構図に、イギリス国内での反発が強まったからだった。2015年に入り、シリア内戦の泥沼化で難民が大量に押し寄せるようになって離脱派の追い風となり、EU残留を望むキャメロン政権は、離脱派を説得する必要に迫られていた。

EUの首脳会議は19日、移民労働者への社会保障の一部制限など、イギリスがつきつけた残留条件に大幅譲歩する形で改革案に合意した。これを受け、キャメロン首相は21日、残留の是非を問う国民投票を6月23日に実施すると表明し「ヨーロッパから去れば、わが国の経済や国家安全保障が脅かされることになる」と、残留支持を呼びかけた

残留36%対離脱45%(YouGov)、残留43%対離脱39%(ICMリサーチ)など、2月の各社世論調査の賛否は拮抗している。ジョンソン氏の動向だけで賛否が15%変動するとの調査もあり、今後の動向は予断を許さない。

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