【ロンドン火災】ラマダンで夜更かしのイスラム教徒、大勢の命を救った可能性

火災が起きた午前1時、20歳のアフメドさんはラマダンの食事をとるために起きていた。
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London 14th June: A huge fire engulfs the 24 story Grenfell Tower in Latimer Road, West London as emergency services attended in the early hours of Wednesday morning: the Mayor of London, Sadiq Khan, has declared the fire a major incident (Photo by Epics/Getty Images)
Epics via Getty Images

イギリス・ロンドン西部にある高層マンション「グレンフェル・タワー」で14日に発生した火災で、ラマダンのために起きていたイスラム教徒が大勢の命を救った可能性がある、とハフポストUK版が伝えた。

24階建て120戸が入るグレンフェル・タワーで火事が発生したのは、午前1時頃。

最近グレンフェル・タワーの9階に叔母と共に引っ越してきたハーリド・スールマン・アフメドさん(20歳)は「普段はこんな夜中まで起きていないが、ラマダン中だったのでスフール(夜が明けて断食が始まる前に食べる食事)のために起きていた」とハフポストUK版に語った。

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火災の起きたグレンフェル・タワー(PA WIRE/PA IMAGES)

しかし、火事に気がついたアフメドさんは、すぐに近所の部屋のドアを叩いて隣人を起こしたという。

アフメドさんはハフポストUK版に、火事が発生した当時の状況を次のように語っている。

「火災警報機や、その他の警告となるようなものは何も鳴りませんでした。プレイステーションをしながらスフールを待っていると、煙の匂いがしたんです。立ち上がって窓の外をのぞくと、8階から煙があがっているのが見えました」

「叔母を起こし、洋服を着て近所のドアを叩きました。2部屋をのぞき、全ての部屋から人が出てきました。開かなかった部屋うち、1つに住んでいる人は後から見かけたので、行方がわからないのはもう1つの部屋に住む人だけです。隣の部屋の人はぐっすり寝ていました」

「廊下中、黒くて濃い煙に覆われていました。その時は、そんなにひどい火事だと思ってなかったんです。僕と叔母は、火事は一部だけだと思っていたけれど、念のため避難したんです。建物の外に出ると、消防士が安全な場所に連れて行ってくれました。その時には、まだ火は僕たちの部屋には達していませんでした。だけど約20分後には部屋は姿を消していました。消防士たちは、すごく機敏に動いていました」

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火災現場の近くに住む人たちに、サンドイッチが配られた。(PA WIRE/PA IMAGES)

「人々は、冷静に歩いて建物から出てきました。だけど、家族や大事な人たちがいないと気付くとパニックになり始めました。建物の外で、パニックが広がり始めました」

「僕は普段、金曜日の夜だったら遅くまで起きていることは時々あるけれど、ラマダンでない限り、週の真ん中で真夜中過ぎまで起きていることはありません。この建物にはたくさんのイスラム教徒が住んでいます。僕や他の人たちはラマダンのために起きていました。多分そのおかげで助かったのでしょう」

地元の女性はハフポストUK版に「イスラム教徒の男の子たちが、住民の命を救った。走り回ってドアをノックしてくれた。ラマダンに本当に感謝している」と話した。

アフメドさんはイギリスのニュース局「スカイニュース」にも、目を覚ましていたイスラム教徒がライフラインになったと話している。

「火事の目撃者がスカイニュースに、スフールのために起きていたイスラム教徒が、グレンフェル・タワーから避難するためのライフラインになったと話した」


火災が起きたグレンフェル・タワーには最大で600人が住んでいたという。現時点で12人の死亡が確認され、更に犠牲者は増えると考えられている。また、少なくとも75人以上が病院に運ばれて治療を受けていると見られる。

現地のイスラム教カルチャーセンターやモスクが、火事の犠牲者のための避難場所として解放されているという。

ハフポストUK版に掲載された記事を翻訳しました。

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