猫はインターネット上で人気者だ。だが、猫の画像にユーモラスなキャプションを付けたロルキャットや、ユニークな顔をしたリルバブやグランピーキャット、HenriLeChatNoirのような人気猫が現れるよりはるか前から、猫は日本のアートの浮世絵の世界に存在していた。
だが17世紀以降、日本の絵師たちが驚くほどたくさん描いてきたのは猫だ。ニューヨークで間もなく開催される浮世絵の展示会「Life of Cats:Selections from the Hiraki Ukiyo-e Collection(邦題:お江戸猫めぐり:平木浮世絵コレクションを中心に)」の展示作品を見るとそのことがよく分かるだろう。展示されているのは90点にのぼるあまり知られていない浮世絵だが、これでもかと言わんばかりにネコたちが描かれている。
歌川国芳(1978~1861年)、『其のまま地口 猫飼好五十三疋』(1848年)
この展示会はニューヨークのジャパン・ソサエティのギャラリーで2015年3月13日(金)から6月7日(日)まで開催される。「大昔のネコのヒゲが見られる」と約束して、アート好きな人もアートにあまり関心がない人たちも呼び寄せようという魂胆の展示会だと思う人もいるかもしれないが、実際には東京の平木浮世絵美術館所蔵の貴重なコレクションの一部を見ることができる、足を運ぶ価値がある展示会だ。
ジャパン・ソサエティ・ギャラリーのディレクター手塚美和子氏らが厳選した作品は5つのテーマで分けられている。「猫と人」「人になった猫」「猫 vs 人」「変身した猫」、そして「猫と遊び」だ。
猫が登場した最も古い日本文学作品と言われる、11世紀初頭の紫式部の『源氏物語』を描いた浮世絵から始まり、そして江戸時代(1600年代~1800年代)の日本的な風景や異国情緒のある風景の中で擬人化して描かれた猫の絵などが紹介されている。
展示会の説明資料に掲載された作品からも、昔の日本人がどれほど猫と関わってきたかが分かる。猫のような姿で歌舞伎を演じる役者や、官能的な場面に登場する猫の絵もあれば、ぶらぶら歩いている猫や、遊んでもらいたがっている猫、窓から外を眺めている猫など日常の中の猫を描いた絵もある。
この展示会からは、勝手気ままな猫たちをペットとして可愛がる習慣がインターネットが登場するはるか前から始まっていたことがわかる。浮世絵の猫たちは、キーボードを弾く猫の動画に熱中する現代のデジタル時代の猫好きたちをも魅了するに違いない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
【訂正】展覧会の邦題が「にゃんとも猫だらけ」という表記がありましたが、正確には日本で開催されたときの展覧会の名前が「にゃんとも猫だらけ」でした。慎んで訂正いたします。(2015/03/11 08:00)
[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー