生まれた月によって、心臓病やウイルス感染、ADHDなどの病気にかかりやすくなる(研究結果)

コロンビア大学メディカル・センターの研究グループが、「生まれた月は、心臓病やウィルス感染、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの健康障害と関係がある」という研究結果を米国医療情報学会誌に発表した。
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円グラフは上から時計回りに1月〜12月まで分割され、各月でかかりやすい病気を表している。

茶色の点は心臓病(Heart Disease)、紫の点は呼吸器疾患(Respiratory Disease)、青の点は精神障害(Mental Illness)、水色の点は感染症(Infections)・寄生虫病(Parasites)を表し、点が円の外側にあるほど、その病気にかかりやすい傾向にある。

各月でかかりやすいとされた具体的な病名は以下の通り。

1月:高血圧(Hypertension)

3月:心房細動・不整脈(Atrial Fibrillation)、アテローム性動脈硬化(Atherosclerosis)

4月:狭心症(Angina)

9月:ぜんそく(Asthma)

11月:ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ウイルス感染(Viral Infection)、急性細気管支炎(Acute Bronchiolitis)

生まれた月でその人の性格や人生を予言するのは、占い師だけの仕事ではないらしい。最近は、科学者も生まれ月で将来を予測するようだ。

コロンビア大学メディカル・センターの研究グループは6月3日、「生まれた月は、心臓病やウイルス感染、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの健康障害と関係がある」という研究結果を米国医療情報学会誌に発表した。

生まれた月が将来の病気を予言するなんて突拍子もない考えにも思えるが、科学者の間ではこの発見は好意的に受け止められているようだ。

この研究を主導したコロンビア大学生物医学情報学部の准教授、ニコラス・タトネッティ博士はハフポストUS版に「科学者たちの素晴らしいところは、色々な考えに対してとてもオープンなところです。彼らは主張を裏付けるデータがさえあれば、突拍子もない考えでも受け入れてくれます」と話した。

とても興味深い研究だが、単に特定の月に生まれたことで特定の病気にかかりやすくなる、という単純な話ではないようだ。

「この研究結果を説明する時には、生まれた月は私たちが環境からうけた影響を測る『代理変数(測定できないものを代わって測る変数)』だということを忘れずに伝えています。環境は幼児期の成長に大きな影響を与えます。ある特定の遺伝子の突然変異にも影響を与えているということはよく知られていることです」

今回の研究では、ニューヨーク市の医療データベースから170万人を選んで、1600以上の病気について調べた。その結果、55の病気が生まれ月に「大きく関係している」ことがわかった。なぜだろうか? 研究グループはその理由を「生まれた時期によって、成長初期段階の環境因子の多くが違うからだ」と、研究グループは説明する。

「生まれた季節によって環境因子は変わります。そして季節はその環境因子の「代理」として、私たちに色々な情報を伝えるのです」とタトネッティ博士は話す。

研究の結果、以下のような生まれ月と病気の関係が見られたという。

  • ・ 全体的に見て、10月生まれが一番病気にかかるリスクが最も高く、5月生まれが最も低い。
  • ・ ぜんそくのリスクは、7月生まれと10月生まれが最も高い。
  • ・ ADHDを引き起こすリスクは、11月生まれが最も高い。
  • ・ 心房細動・鬱血性心不全・僧帽弁疾患などの心臓障害のリスクは、3月生まれが最も高い
  • ・ 冬生まれは、神経障害のリスクが高い。


注意して欲しいのは、このリスクは、予防措置を取らなければならないほど深刻ではないと研究グループが注意している点だ。

タトネッティ博士は「今回の研究の最も興味深い点は、特定の病気のリスクを高めるのはどんな環境かを調べる新しい研究の機会が開けるかもしれないことです」と語る。「このメカニズムが解明できれば、生活習慣や食生活を改善するためのアドバイスができるようになるかもしれません」

以下の動画も研究の詳細について説明している。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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