大切な仲間は、年齢も職業もバラバラ。「LiLiCoって友だち多そうだよね」よく言われる理由

好評連載第2回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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Yuko Kawashima
LiLiCoさん

スウェーデンと日本と、ふたつのアイデンティティーを持つタレントのLiLiCoさん。30年前に来日して以来、独自の視点で日本を見つめ続けてきました。そんなLiLiCoさんが、世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、ホンネで語る本連載。

今回のテーマは、「友だち作り」です。社会に出たり、家庭を持ったり、ライフステージとともに変化しがちな友人関係。学校や職場だけではない人間関係の作り方に戸惑う人も少なくありません。交友関係の広いLiLiCoさんに友だちづきあいのヒントについてお聞きしました。

 

友だちって、そもそもどんな存在? 

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Yuko Kawashima

「LiLiCoって友だち多そうだよね」「友だちってどうやって作ればいいんですか?」ってよく聞かれるんですよね。学生時代以外の友だちができないと悩む人もいるみたい。 

そもそも「友だち作り」という言葉は、よくないね。だからみんな必死になっちゃうんじゃない? 友だちって自然になるものだから、あんまり無理しない方がいい。

私は18歳で日本に来たから、日本の友だちはみんな社会に出てからのつながり。一番仲のいい6人グループは、売れていない時代から25年ぐらいのお付き合いです。

広い社会にも、新しい友だち候補はいるはず。毎日は、コミュニケーションにあふれているんだもの。

取引先や職場の人や仕事仲間だって、仕事の関係を超えて友だちになれる人っている。

その日に知り合って、親友になる人だっている。バーで隣に座った名前も知らない人と、意気投合することもある。

私にとって友だちとは、“人生楽しんでるレベル”が合う人のこと。それが上か下かじゃなく、ちょうど合う値の人。 

それから、相互に与え合う関係になれる人。

“人生楽しんでるレベル”って、仕事の頑張り方にも影響する。

私、「なんとかなる」っていう言葉が大嫌いなんですよ。それって、全然頑張らない人。それでいて周りが頑張ってなんとかしたことに気づかない人の使う言葉だから。

私は、「なんとかする」立場になることが多いんですよね。

私と同じ頑張り方をする人は、「なんとかする」人の存在に気づくし、その苦労をわかってくれる。だから、一緒に愚痴れる。 

愚痴に対して「まあまあまあ」ってなだめてくる人は、私は友だちにはなれない。「それは嫌だね、大変だったね」と言い合える相手がいいんです。

昔から仲のいい6人グループがあるんですが、みんな“人生楽しんでるレベル”は一緒。でも年齢も性別も仕事も収入も、すべてバラバラ。シングルマザーもいるよ。 

日本人のクセとして、相手の年齢や職業、立場を気にしますよね。相手が社長だったら、バイトの人は気遅れする。でも、私は気にしない。男女の友情だって、あるに決まってるじゃん。

 

親友ってどんな存在?

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Yuko Kawashima

人間だから、私だって疲れているときがあります。本当の友だちって、そんなときでも「いつもと違って、今日は元気ないね」なんて言わない。

舞台挨拶を1日に5、6回して、舌も頭も回らなくなっちゃったとき、「そういう日もあるよね」って付き合ってくれる相手。それが、友だちだと思う。

人は誰でも多面体。テレビで「私、小食で……」とか言ってるカワイイ女性タレントだって、深夜に家でポテトチップス食べたい日がある。それは、それでいい。

仕事の顔もプライベートの顔も自分だもん。友だちって、それをわかってくれる人よ。芸能人じゃなくても、仕事をしている人はみんな“表のキャラクター”を持っているでしょう?

さっき話した仲良しグループの友だちは、私をLiLiCoとして見ていながらも、今も出会った当時と変わらない扱いをしてくれるんですよね。

私が忙しいとわかっていても、たまには遠慮せず「今日はLiLiCoの作ったミートソース食べたい」って言ってくれる。それが一番うれしいんですよ。

 

連絡取れない人なんていない

仕事柄、毎日名前を覚えられないぐらい、いろんな人に会います。そのなかから新しく友だちになる人もいる。本当に気が合う人って、数秒でわかるんですよね。

「芸能人だから」っていう理由でお付き合いはしないけど、芸能人に仲良くしている方もいます。

例えば、荻野目洋子さん。出会いは『ノンストップ!』(フジテレビ系)で、最初に荻野目さんが「私たち、気が合う気がする」「ご飯食べに行きましょう」と言ってくれたんです。ただ、帰る時間がズレて連絡先を交換できなくて。

でも、そのままにしないのが私。

所属事務所に電話をして、荻野目さんから食事に誘っていただいたこと、社交辞令かもしれないけどもしよかったら本当に行きたいことをお話しして、電話番号を伝えてもらったんです。そうしたら、「洋子です」って電話がかかってきて、それからご縁が始まりました。 

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Yuko Kawashima

連絡取れない人なんていないんですよ。

近所の郵便局のお兄さんと飲みに行くこともありますよ。元はといえば、スウェーデンで迷子になってしまった荷物の行方を一生懸命探してくれた人で、きっちりとした仕事の仕方に好印象を抱いていたんです。 

その件で何度か郵便局に足を運ぶうちに、私がテレビで紹介したミニシアター系の映画を彼が観ていたり、彼がたまたま私の親善大使をしている葛飾区出身だったりすることを知って、仲良くなって。 

それである日、飲み会に誘うことにしたんです。連絡先を知らなくたって、郵便局は9時からやってるじゃない? 「土曜日に飲み会やるから来る? じゃあ駅で改札のところに20時ね」って、郵便局まで約束しに行ったんですよ。

私、彼の電話番号も年齢も知らないですよ。それでも、友だちになることはできる。

 

人と人をつなげるのは物事への感受性 

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Yuko Kawashima

友だちになれるかどうかって、話してみないとわからないですよね。お互いに自分を表現できないし、興味を持つこともできない。グッドルッキングは友だち作りには関係ないからね。

じゃあ、何を話せばいいか。日本人って気遣いしすぎだから、心の本当のところをオープンにしてみたらどうですか? 

この前、とても参考になる話を聞きました。キアヌ・リーブス主演の人気シリーズ『ジョン・ウィック』の監督チャド・スタエルスキーと話をしたときのこと。誰かに初めて会うと、当然「この人はどんな人かな〜」と興味が湧きますよね。

そこで”自己紹介”的なことをしようとすると、私の場合は「スウェーデン出身で、母は日本人なのでこちらに来て芸能活動をしています」みたいな会話になります。しかも、ちょっと構えちゃったり、背伸びしたりするかもね。

でも意外と「さっきの乗ったタクシーの運転手、ひどかったよ。すべてが遠回りで、道を優しく教えてあげても頑固過ぎて言うこと聞いてくれない! あー、遅刻するかと思った! 焦った!」なんて言葉の方が、私自身のことが伝わったりする。 

タクシーに乗る余裕があって、道も知っていて、教える優しさはあるけど、無視されたらキレる。それはそうだ。人間として当然の感情を、これだけ感じて生きてるのね、とわかる。無関心でなんとも思っていない人より、何百倍もいい。

つまり、こういう話の方が出身などより「どんな人かな?」って興味が湧きやすいんです。 生い立ちは、のちのち仲良くなってから(笑)。

スウェーデンの大ベストセラーを映画化した『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン/2015)の監督ハンネス・ホルムのエピソードも参考になります。

私が「スウェーデンのほぼ全国民が読んでいるぐらいのベストセラーを映画化するのって、プレッシャーはないですか?」って聞いたときのこと。

彼は、「ありませんね。あなたがその本について話すとき、あなたは実はその本の話はしない。あなたは、あなたの話をするんです。何に共感できたかという話をするわけだからね。つまり、僕はこの映画を通して、僕の話をしているんですよ」と。

さっきのタクシーの話でいえば、私は「普段からよくタクシーに乗る人」「道を知らなかったら教える人」「相手が道を覚えて今後に役立ててくれたらいいなと思う人」みたいな自己紹介をしているみたいなもの。

そういった物事への感受性を共通項にして、人と人は興味を持ち合うんじゃないかな?

それから日本人って、出身地をすごく大事にするじゃないですか。東京に出てきて、ほぼ出身地を捨ててるくせに、「広島出身なんだ~!」なんてすごく盛り上がりますよね(笑)。すっごくいい。

私も最近、兵庫県出身の人がいたら、気になっちゃう。

「夫の出身地だからよく行くんですよ、どこの市?」とかいって。兵庫の話をしたいがために、夫の実家の近くの駅名とか地名をめっちゃ勉強してる。スウェーデン出身の人って、ほとんどいないから(笑)。

 

男女の友情は成立する? 私の親友は夫

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Yuko Kawashima

数多い友だちのなかでも、親友は数人。 一番の親友は、夫かな。

結婚してしばらくして、全然友だちと飲みに行かない彼に、「友だちと会わなくていいの?」って聞いたことがあるんですよ。「気を遣って、私とばっかりいなくていいんだよ、私だって友だちと飲みに行くし」って。

そうしたら「仕事仲間とは飲みに行くけど、昔からの友だちは一時期、離れちゃったんだよね」って、その理由も含めて教えてくれたんです。 

過去のことって、誰しも美化したいはずなのに、普通は人に言わないような内容を打ち明けてくれたから、こんなにも私に対してオープンになってくれてるんだとうれしくなって、さらに深く彼に惚れました。

同時に、親友はこの人一人でいいんだなって感じましたね。たとえ結婚していなくても一生の親友になれたな、って。  

 

「友だちは自分の鏡」が本当なら私は幸せ者

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Yuko Kawashima

友だちは大事だけど、2、3人で十分だし、気が合った人だけを選べばいい。

気が合わないなと思ったら、関係を切ってもいいと思うんですよ。例えば、自分を利用しようとする人とかね。 

当然、向こうから来なくなることもある。友だちは選ぶものだし、選ばれるものだから。

仕事をしていると、ただでさえ気の合わない相手とも付き合わなくちゃいけない。だったら、プライベートの時間はできるだけ優雅にしたいじゃない?

私だって20代のときは、友だちはだれでもよかった。飲み屋でわーっと騒いで、「うち来なよ」ってワンルームに15人ぐらいで雑魚寝するのも、それはそれで楽しかった。

時間も体力もある若いうちなら、いいんですよ。

でも、37歳ぐらいから、自分がどういう人と合うか少しずつわかるようになってくるんですね。40代以降は、本当の友だちが残る。

仕事が忙しくなって自分の時間が減ったら、限りあるプライベートを楽しめる相手だけを友だちに残す。それでいいと思う。

40代になったら、プライベートって宝物みたいな時間。それなら、宝物みたいな人たちを周りに置きたいですよね。

「友だちは自分の鏡」というけど、そうだったら私は幸せ者 ! これを読んでくれている みんなも、そんなふうに思える友だちに出会えるといいな。

第1回:スウェーデン人は8歳で男女一緒に「生理」を学ぶよ。 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」

(聞き手:有馬ゆえ 写真:川しまゆう子 編集:笹川かおり)