「ヒトは長生きするようになった」とよく聞く。高齢期の死亡率も幾分低下しているという最近の証拠もあるが、実際のところ、これまでの平均余命の延びの多くは幼少期の死亡率の低下によるものである。
J Vijgたちは今回、ヒトの寿命には根本的な限界が存在するのか、という厄介な問題に取り組んでいる。平均余命および死亡時に報告された年齢の最高値に関する人口統計学的解析の結果は、ヒトの寿命には「自然の限界」が存在するという考えを裏付けるものだった。
加齢に伴う生存の改善は、100歳を超えると低下する傾向があり、世界最高齢者の死亡時年齢は1990年代から上昇していない。
Nature538, 7624
2016年10月13日
原著論文:
doi: 10.1038/nature19793
【関連記事】
老化細胞の有害な影響 Nature530, 7589 2016年2月11日
衰える血液幹細胞 Nature512, 7513 2014年8月14日
老化の仕方は種によってさまざま Nature505, 7482 2014年1月9日
寿命と関係するMRP遺伝子ファミリー Nature497, 7450 2013年5月23日