東京オリンピック・パラリンピックはLGBTQの人たち、中でもアスリートを目指す若い当事者にとって、これまでのオリパラで最も希望を感じられる大会になるかもしれない。
同大会では、自身の性自認や性的指向を公表したLGBTQアスリートの数が、オリンピック史上最多になることがわかっている。
アウトスポーツによると、これまでに出場がわかっているアスリートの数は163人。これは2016年のリオオリンピックの2倍以上になるという。
選手数が最も多いのはアメリカ合衆国で、カナダ、イギリス。オランダ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドと続く。
さらに、東京オリンピックはトランスジェンダーを公表した選手が初めて参加する大会でもある。
その1人で、ノンバイナリーを公表しているサッカー女子カナダ代表のクィン選手は、札幌ドームで7月21日に開催された予選リーグで日本チームと対戦した。
開会式で旗手をつとめるLGBTQアスリート
また、アウトスポーツによると7月23日に行われる東京オリンピック開会式では、6人のLGBTQアスリートが旗手をつとめることがわかっている。
旗手に選ばれている選手
・セシリア・カランザサロリ選手(セーリング、アルゼンチン代表)
・アンドリ・エレフテリウ選手(射撃、キプロス代表)
・アリ=ペッカ・リウッコネン選手(競泳、フィンランド代表)
・ケリー・ハリントン選手(ボクシング、アイルランド代表)
・スー・バード選手(バスケットボール、アメリカ代表)
・ユリマル・ロハス選手(陸上競技、ベネズエラ代表)
東京オリンピックの開会式では、女性と男性の選手がそれぞれ1人ずつ旗手として起用される。
これはオリンピック初で、IOCがジェンダー平等のために、参加国と地域に求めた取り組みだ。
ただ、ノンバイナリーなど「女性」「男性」の性別に属さない選手などを含めたジェンダー平等にまでは及んでいない。
こういった点など、スポーツをよりインクルーシブなものにするためにできる取り組みはまだあるものの、性的指向や性自認を公表したLGBTQの選手数がリオ大会に比べて倍増したことは、スポーツが性的マイノリティの人たちにとって、居心地の良い場所になりつつあることを示している。
リオ大会出場後の2020年に、同性愛者であることを公表した競泳カナダ代表のマーカス・ソーマイヤー選手は、「オリンピックにゲイを公表したアスリートとして参加するのは本当に素晴らしいこと」「ありのままの自分で世界トップ選手たちと競えることは、スポーツの中でインクルージョンが進んでいるということを示していると思います」とアウトスポーツに語っている。
また、選手本人だけではなく、多くのLGBTQ当事者にとっても希望になりうる。
アメリカのLGBTQアスリート擁護団体「アスリートアライ」のジョアンナ・ホフマン氏は、「カミングアウトし、自身を誇りに思うアスリートたちは、カミングアウトしていない人たちや、本当になりたい自分としてスポーツをできているか確信が持てない人たちにとって支えとなります」とタイムに話す。
スケートボード・オーストラリア代表として東京オリンピックに参加するポピー・スター・オルセン選手も、タイムに「次の世代を勇気付け、あなたは一人じゃないと伝えたい」と、LGBTQの若者たちのロールモデルになりたいという気持ちを語った。
プライドハウス東京も発信
東京オリンピック・パラリンピックに先立ち、東京・新宿区には、LGBTQに関する情報発信を行い、安心・安全な居場所を提供する「プライドハウス東京レガシー」が作られた。
同施設を運営する任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムも、アウトスポーツの調査を参考にリストを作成。
自身の性自認や性的指向を公表した、東京2020大会に出場するLGBTQ+アスリートを紹介している。