「LGBTは生産性が無い」の杉田水脈氏、過去には「日本に女性差別はない」発言も

繰り返される「暴言」の歴史
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自民党の杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」発言に、批判が広がっている。杉田氏は、一体どのような人物なのか。過去には国会で「日本に女性差別は存在しない」と発言するなど、独自の主張を繰り返していた。

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時事通信

杉田氏が「日本に女性差別は存在しない」と言ったのは、2014年10月の国会でのこと。日本に女性差別撤廃条約は必要ないと主張する中での発言だった。

《女子差別撤廃条約をいろいろ隅々まで読んでおるんですけれども、こういった、例えば命にかかわるよう女性差別があるような国とかにとってはこういう条約というのは本当に必要なものではないかと思うんですけれども、日本はそれと比べてどうですか。女性の差別は存在しますか。私は、女性差別というのは存在していないと思うんです。

(中略)

(条約には)日本の文化とか伝統を壊してでも男女平等にしましょうというようなことが書いてあって、これは本当に受け入れるべき条約なのかどうかということがあるかと思うんです。》

現状としては、日本のジェンダーギャップ指数は世界144カ国中114位。政治・経済の分野で各国に遅れをとっている。内閣府の男女共同参画白書でも、「男性中心型労働慣行等の変革」がうたわれている。

杉田氏は「男女平等は、絶対に実現しない妄想」とも書いている。2017年に出版された『なぜ私は左翼と戦うのか』にはこうある。

「性差による役割分担は神様がおつくりになったもので、人間がそれを否定することはできません」

「子どもを産むために男女が一緒になるのは自然の摂理」

「男子、厨房に入らず」という言葉を取り上げ「女性が専有する場所に男性が入っていけない」、「反対に、女性も男性の占有領域を侵すべきではありません」

杉田氏にとって、男女平等は妄想であり性別に応じた役割があるということが繰り返し強調される。そのなかで、LGBT否定も位置づいている。

「思春期の一時的に同性に魅かれることもあります(中略)でもそれは成長期の一過程であって、誰でも大人になると自然と男性に惹かれ、結婚して、子どもを産み、家庭を持つわけです」

こうした独自の「自然観」が、LGBT否定の根拠のようだ。

杉田氏は著書で、「LGBTの権利を認めれば、LGBTでない人にとって「『逆差別』ともなりかねない」とまで主張している。

しかし、LGBTの人権をめぐる議論の中心は、「LGBTが不当に不利益を受けている部分について、是正すべきだ」というものだ。LGBTに特権を与えようという話ではない。

マイノリティの権利回復の動きに対して、「特権を与えるな」と反対する杉田氏の言説は、ネット上も含めた右派論壇界隈で繰り広げられているものと同一の流れだ。

杉田氏は2014年には、右派的主張で知られるアパ日本再興財団主催「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を受賞している。

今回問題となった「LGBTは子どもを産まないから生産性がない」。そして「生産性がない」から支援の必要がないという発言も、杉田氏からすればかねてからの持論を展開したにすぎないのだろう。

しかし、「子どもがいない、できないという人」に社会的支援を与えないというのは極論であり、暴言でもある。

これ以上、暴言を放置していていいのか。問われているのは、第一に自民党の対応だ。

公式サイトによると、杉田氏は西宮市役所勤務などを経て政界入り。2012年の衆院選で日本維新の会から出馬して初当選を果たす。その後、次世代の党などを経て、2017年衆院選では自民党から出馬し、比例中国ブロックで2度目の当選を果たした。

杉田氏が当選した2017年衆院選で自民党はこんな公約を掲げている。

《性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的として議員立法の成立を目指す》