3月から始まった新卒の就職活動。LGBTなどの性的マイノリティは、どんな視点で企業を見て就職活動をしているのだろうか。
・やりたいことができる企業か。
・LGBTに理解がある企業だろうか。
・実際に働きやすい現場だろうか……。
株式会社「JobRainbow」(ジョブレインボウ)は3月1日、そんなLGBT就活生やLGBT転職活動者のための企業口コミサイトをオープンした。同サイトには、当事者たちが、企業の説明会や面接で実際に感じたことや、その職場で働いて感じたことが書き込まれている。
その一部を紹介しよう。IT企業や大手電力会社、人材など様々な企業の口コミ情報が寄せられている。
実際に人事の採用担当の方にカミングアウトをしたが、「うちはそういったことが何か仕事に影響するということは全くないし、寧ろウェルカムですよ」と言って頂けたのは心強かった。
福利厚生は良いが特にLGBTに配慮されたものはない。
(関西電力株式会社)
全ての面接でLGBTであることをカミングアウトしたが、対応が変わる面接官は一人もおらず、寧ろ社内のLGBT研修の話や、実際にオープンにしている社員の方の話等を積極的にしてくれた。基本的にLGBTを応援する姿勢を示してくれていたが、特に特別扱いするということもなく、面接の審査自体は厳格に行われていた。
恋人について問われる時、我々に配慮した表現ではなく、彼女という表現で聞かれることが多く苦痛を感じた。
(日本郵政株式会社)
面接でも、カミングアウトしたが、面接官は動じることなく誠意ある対応をしてくれた。かといって、特別扱いされるわけでもなく、面接自体は厳格におこなわれた。LGBTとしての入社後の不安についても親身に相談にのってくれた。
■「匿名性の高いリアルな情報で、LGBT対応の実態を伝える」
同社の星賢人・代表取締役が起業したきっかけは、トランスジェンダーの友人が就職をきっかけに大学を中退したことだった。友人は、戸籍上の性別と外見上の性別が違ったことが問題となったほか、企業の人からも「あなたのような人は、うちの会社にはいないよ」などと言われたという。
「JobRainbow」の星賢人さん
星さんは「LGBTの人が、自分らしく働ける職場を作りたい」と起業を決意。口コミサイトを通じて「匿名性の高いリアルな情報を載せていくことで、会社のLGBT対応の実態を、就活生に伝えられる」と話した。
同社が、約300名を対象に行ったアンケートによると、就職活動の際に「自分のセクシュアリティをオープンにしたいと考えているが、できていない」と考える人の割合は55%。一方、拒絶されることへの不安を感じる割合は100%だったという。
星さんは「セクシュアリティは、その人を形づくる大切な要素です。日本の企業では、家族よりも(同僚の方が)長い時間を一緒に過ごします。パナソニックなど大企業のLGBTの取り組みは、ニュースになりましたが、10人くらいの中小企業も社長がやるといえば環境が変わりやすく、対応も早い。企業には何らかのアクションを起こしてもらいたいです」などと展望を語った。
同サイトは、LGBTフレンドリーな企業を当事者が知る機会になるだけでなく、口コミによって企業がLGBT対応を始めるきっかけになるかもしれない。
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