地方のLGBTが東京で受けた「写真撮影」というカルチャーショック

会場にいる他の参加者たちを見て、私は大きな問題に気づいた。
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Women hold hands during the Tokyo Rainbow Pride parade celebrating lesbian, gay, bisexual, and transgender (LGBT) culture in Tokyo, Japan, May 8, 2016. REUTERS/Thomas Peter
Thomas Peter / Reuters

今年のGWに東京・渋谷の代々木公園を中心に行われたTOKYO RAINBOW PRIDE 2016

メインイベントである5月7日のフェスタと8日のパレード2日間合計で、70,500人が来場した。

普段地方に暮らす私も参加してみたが、やはり渋谷の街にLGBTの象徴でもあるレインボーフラッグがかかっている様子は圧巻だったし、渋谷のスクランブル交差点をパレードする参加者たちの笑顔は本当に美しかった。

しかし、私が抱いた一番の感想はただ一言、「とにかくメディアが多い!!!!!!」

テレビ局や新聞社をはじめ数多くのメディア関係者がいた。もちろん、関係者は本部テントで取材メディアとして登録をしており、背中に「press」と書かれた派手な黄色のビブスを着てはいた。

しかし、会場内には日本全国だけでなく世界各地から集まった人達がそれぞれ自由にカラフルな服装で参加していた上に、ドラァグクイーンなどの派手な衣装の人もいて、正直、黄色のビブス程度では全く目立っていなかった(むしろ、派手な色が多い場内で馴染んでいたように感じた)。

家族や友人など周りにカミングアウトできない、もっと言えば東京に滞在していることすら言えない環境に生きている私は、どこにいるかわからない「press」から逃げ回るように会場内のブースやイベントを回っていた。

しかし、会場にいる他の参加者たちを見て、私はもう一つの大きな問題に気づいた。

みんな自由に自撮りをしているのだ。

街中で自撮りする人は多くいるし、大きなイベントに来た記念に、とか、お気に入りの服装で来たから、とか、撮りたくなる気持ちもよくわかる。しかし、だ。

SNSなどインターネット上に写真を投稿する際のマナーとして、一緒に写る友人へ投稿の許可を取るべきだし、こういったイベントの場合には「周りに写りたくない人がいるかもしれない」といった配慮も必要だと思う。

実際、名古屋で年に一度行われているNLGR+というイベントでは、アウティング防止のため、会場内での撮影とSNSへの写真投稿を固く禁止していた(イベント会場内で何度も撮影しないようアナウンスしていた)。

この夏も日本各地でLGBTに関するイベントが開催される。

また、9月には名古屋で、10月には大阪で、大規模なイベントやパレードが予定されている。

LGBTの存在が報道されることや、LGBTであることを隠さずにSNSへ投稿できる世の中になってきていることは、とても良いことだと思う。しかし、その一方で「顔や本名を絶対に明かせない」という苦悩と共に生きている人が今もいることを決して忘れないで欲しい。