脱法ドラッグ、「薬物」指定前でも摘発へ 使用による救急搬送が1年で10倍に

脱法ドラッグの販売業者の摘発に向け、厚生労働省は、脱法ドラッグの販売業者の摘発を強化するため、薬事法で禁止されている指定薬物に定める前でも、販売業者を摘発する方針を固めた。
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時事通信社

厚生労働省は、脱法ドラッグの一種「脱法ハーブ」の使用による事件・事故が相次いでいることから、薬事法で禁止されている指定薬物に定める前でも、販売業者を取り締まる方針を固めた。7月10日、関係省庁会議を開き、警察などと連携して販売業者の取り締まりを強化することを確認した。

厚労省は、健康被害を引き起こすおそれがあるドラッグを指定薬物として取り締まりの対象としている。しかし、指定には原則30日以上の意見公募(パブリックコメント)などの手続きが必要で、その間に新たな成分を用いた脱法ドラッグが次々と出回るため、規制が追いついていないのが現状だ。

これを防ぐため、指定薬物かどうかに関わらず、商品に含まれる成分から中枢神経に影響する作用が認められれば「医薬品」に相当すると判断し、規制する方針だという。朝日新聞デジタルが報じた。

厚労省は薬物に含まれる物質が中枢神経に影響を与えるかに着目。この物質を「医薬品」として位置づけ、指定薬物に定める前に、薬事法で禁じる「無承認医薬品の販売」(懲役3年以下または罰金300万円以下)での取り締まりを検討する。この条項を適用し、販売業者の取り締まりを強化する。

(朝日新聞デジタル「脱法ドラッグ、取り締まり強化へ 厚労省、警察と連携」より 2014/07/10 18:46)

「中枢神経に影響を与える」ことを確認するには、マウスなどの動物実験を行う必要があり、摘発に時間を要すると見られるが、厚労省は「特許の関係で詳しくは話せないが、動物を使わない新たな鑑定方法の研究もある」と説明しているという。

また、厚労省は、指定薬物に指定する際に開く専門家会議の回数を増やしたり、指定の手続きを簡素化するなど、規制の対象にするまでの期間そのものを短縮する方針だという。

■脱法ドラッグによる救急搬送、1年で10倍に

脱法ドラッグを使用したことで、意識障害などを起こし救急搬送される患者が急増していることが7月11日、厚生労働省研究班の調査でわかった。救命救急センターなど全国60の医療機関に受け入れ患者数を聞いた結果、2012年は469人で、前年の48人から約10倍となった。2009年まではゼロだったが、2010年に1人、2011年に48人と、わずか5年の間に急速に増加している

2010年以降の518人の患者のうち、入院したのは182人にも上った。また、患者の平均年齢は28.4歳で、8割が男性だったという。

22年以降の患者518人を分析したところ、患者の症状は嘔吐(おうと)(129人)が最も多く、錯乱(48人)や幻覚・妄想(14人)、失神(8人)などもみられた。暴力行為や交通事故を起こして運ばれた患者もいた。182人(35・1%)が入院し、29人は人工呼吸器が必要な重い症状だった。

(MSN産経ニュース「脱法ドラッグで救急搬送者、10倍に 前年比、厚労省研究班調査」より 2014/07/11 20:57)

厚労省研究班が行った初の全国調査によると、脱法ドラッグを使用したことがある人は全国で約40万人にのぼると推計されている。脱法ドラッグは、シンナーや大麻と比べ、若い世代を中心に広がっていることがうかがえる。

脱法ドラッグを使ったことがあると答えた人は全体の0・4%(250人に1人に相当)で、全国で約39万9800人に上ると推計した。シンナー(1・9%)、大麻(1・1%)、覚醒剤(0・5%)に次いだ。これらの違法薬物を使ったことがあると答えたのは、2・5%(40人に1人に相当)を占めた。

脱法ドラッグを使ったことがある人の平均年齢は33・8歳。シンナー(43・8歳)、大麻(40・7歳)、覚醒剤(40・1歳)などに比べて最も若かった。

(朝日新聞デジタル「脱法ドラッグ、40万人使用か 厚労省研究班が推計」より 2014/07/03 00:00)

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