仲間を殺され、たった一人生き残ったアマゾン先住民「穴の民」が亡くなる

「彼の死により、この部族の大虐殺は完了しました。これは大虐殺なのです――貪欲に土地や富を求める牧場経営者によって、意図的に一人残らず殺されました」
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ブラジルの熱帯雨林アマゾンで、仲間全員を殺された後、たった一人で生きてきた先住民族の男性が亡くなった。地元自治体が8月27日に発表した。

男性はアマゾン西部ロンドニア州の先住民族居留地で暮らしていたが、国立先住民保護財団(FUNAI)によると、8月23日に小屋のハンモックで死去しているのが見つかった。暴力や争いの形跡はなく、自然死と見られている。病気に感染していたかどうかを調べるため、検視が行われる予定だ。

男性は、獲物を捕らえたり身を隠したりするために穴を掘っていたことから「穴の民(Man of the Hole)」と呼ばれていた。年齢は60歳前後だったと考えられている。

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「穴の民」と呼ばれた先住民族の男性が、木を切っていると思われる動画。FUNAIが撮影。
FUNAI

男性と同じ部族の人々は、1970年代以降、入植者や牧場経営者が雇った武装集団に襲われ、命を奪われてきた。1995年に仲間6人が殺された時、穴の民だけが生き残ったと考えられている。

それから30年近く、男性は外部との接触を拒み、一人で生きてきた。

先住民族の権利保護活動に携わるNPO「サバイバル・インターナショナル」のフィオナ・ワトソン氏は、2004年に男性の土地を訪れた際に「穴の民は外部との接触を強く拒絶し、侵入者には警告として矢を投げる」と説明している。

ワトソン氏は男性の死について「誰ひとりとして、彼の名前や部族について知っている外部の人間はいません。彼の死により、この部族の大虐殺は完了しました。これは大虐殺なのです――貪欲に土地や富を求める牧場経営者によって、意図的に一人残らず殺されました」とコメントしている。

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男性が作ったわら小屋の一つ
J PESSOA SURVIVAL INTERNATIONAL

サバイバル・インターナショナルによると、ブラジルには2019年時点で約300の先住民族がおり、「穴の民」はその中で唯一、一人で暮らしていた。

ワトソン氏は「彼は、植民地化と利益の名の下に、世界中の先住民族に対して行われてきた非道極まりない暴力と残虐、同時に抵抗を象徴していました」とつづっている。

「私たちには、彼が目にしてきた恐ろしい光景、そして部族の仲間が殺された後の孤独を想像することしかできません。しかし彼は、接触しようとする外部の試みすべてに断固抵抗し、独りにしてほしいとはっきり示しました」

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「穴の民」と呼ばれた先住民族の男性が掘った穴の一つ
J PESSOA SURVIVAL INTERNATIONAL

さらにワトソン氏は、ブラジルのボルソナロ大統領が、熱帯雨林や先住民保護より利益を重視し続けるのであれば、先住民族は絶滅するだろうとも警告している。

ボルソナロ氏が大統領に就任した2019年以降、アマゾンでは森林伐採が急速に加速した。

資源開発をもくろむボルソナロ氏に、先住民達は強く反発。2021年にはアマゾンを破壊する政策は人道に対する罪だとして、先住民族の首長がボルソナロ氏をICCに告訴した

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。