米国ラスベガスの光り輝くベガス・ストリップやフリーモントストリートを見ると、途方もない電気代のことを想像してしまう人も多いのではないだろうか。
実に壮観なスペクタクルだが、裏では大量のエネルギーが消費されているのだ。しかし、「Sin City」(悪徳の都市)の異名を持つと同時に"sunny city"(晴天の多い街)でもあるラスベガス市は、その豊富な太陽エネルギーを活用することを検討している。
ラスベガス市は、ニューヨーク市に拠点を置くクリーン・テクノロジー関連のスタートアップ企業EnGoPLANETと提携して、アーツ・ディストリクトのボールダー・プラザと呼ばれるスペースに、太陽と歩行者から得たオフグリッド電力で点灯するLED街灯の設置を計画しているという。
街灯上部のソーラーパネルによる太陽光エネルギーに加え、歩道に設置されたパッドから歩行者の通行で生じる運動エネルギーが取り込まれ、ライトに電力が供給される仕組みだ。モーション・センサーの働きで必要な時にだけ点灯するので、電力の節約にもなる。さらに、ライトは色を変えることもできるから、きらびやかなラスベガスの雰囲気を保つのにピッタリだ。
しかもこの街灯は、照明として光を供給するだけでなく、備え付けの各種センサーを使って、クラウド経由で有用な情報を提供する。
例えば、大気質測定、水検知、交通モニタリング、そして監視カメラの機能まで備えており、さらにはWiFiスポットや、USBポートを通じた充電、ワイヤレス充電も提供できるという。
EnGoPLANETのペタル・ミロビックCEOは、「現在、世界の街灯は年間約9,000万トン以上の二酸化炭素(CO2)を放出している。私たちの世代には、こうしたエネルギー・システムを転換する道義的責任がある。EnGoPLANET製ストリート・ライトは、道路照明のあり方に革命をもたらすだろう。
CO2排出量を削減し、維持費を減少させ、多くの新しい機能を提供してスマートシティ化を促進することになる」と語っている。
ラスベガス市は現在、再生可能エネルギーの利用と持続可能な街へ向けて大きくシフトしつつあり、100%再生可能なエネルギーによる街を目指して取り組む計画を最近発表している。同市はエネルギー効率化プログラムの採用に加え、太陽光発電の大規模プロジェクトから電力供給を受ける契約も結んでいるという。同市のあるネバダ州では、テスラの巨大リチウムイオン・バッテリー工場「ギガファクトリー」など、興味深いテクノロジー企業の進出もますます増えている。
今回、太陽光と運動エネルギーを供給源とする、WiFi・充電機能付き街灯の設置計画を掲げたラスベガス市は、また一歩、未来都市に近づいたようだ。
EnGoPLANET STREET LIGHT from EnGoPLANET on Vimeo.
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年3月21日 「【ビデオ】ラスベガス市、太陽光と運動エネルギーを活用するクリーンで多機能な街灯の設置を計画」より転載)
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