残業や休日出勤を従業員に命じる場合、必ず労使協定を締結しなければならない。しかし、中小企業の56.6%が労使協定を結んでおらず、その半数以上が「違法残業」であることが厚生労働省の調べでわかった。
調査は、11,575の事業場を対象に全国の労働基準監督官が各事業場を訪問する方法で実施し、2013年4月1日時点の実態を調べている。
労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、週40時間と定められているが、定められた時間を超えて働かせる場合は、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出をしなければならない。
しかし、調査の結果によると、「時間外労働・休日労働に関する労使協定をいずれも締結していない」と答えた事業場は全体の44.8%で、そのうち、「時間外労働・休日労働がない」と答えたのは43%だった。つまり、残りの57%は時間外労働や休日出勤があるにも関わらず、労使協定を結んでいないことになる。
事業場の規模別で見ると、中小企業では労使協定を締結していない事業場は56.6%と半数を超え、うち時間外労働や休日出勤がないと答えたのは43.5%で、半数以上が「違法残業」だったということになる。大企業では94%が労使協定を締結していた。
過去のデータと比較してみると、2005年の厚生労働省が行った調査では、36協定を締結していた事業場は全体の37.4%だったが、2013年の調査では55.2%に上昇している。また、「法定時間外労働の実績」を見ても、年間の平均残業時間は2005年210時間だったのに対して、2013年は約157時間。月間の平均残業時間も2005年の約25時間から18時間と、全体的な残業時間は減少しているという側面もある。
労使協定を締結していない企業に理由を尋ねた結果、「労使協定の存在を知らなかった」と答えたのは、大企業は5.7%だったのに対し、中小企業は36.2%にのぼった。以前よりも36協定は認知されているものの、中小企業には浸透しづらい現状があるようだ。
朝日新聞デジタルによると、違反していた企業に対してはすでに監督官が是正を求めたという。
法違反が見つかった企業には、すでに監督官が是正を求めた。厚労省は「36協定について、ここまで知られていないのは驚き。周知を徹底したい」(労働条件政策課)としている。
(朝日新聞デジタル「労使協定無い中小企業、6割が「違法残業」 厚労省調べ」2013/11/10 20:03)
Twitterでは、36協定は「あっても形だけ」といった声があがった。
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
関連記事