KuTooの石川優実さんが記者会見で訴えたこと 「『女性差別ではない』という意見も多いけど、簡単に否定しないで」

職場や就活の場で蔓延する性差別に、改めて異を唱えました。
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「#KuToo」発信者の石川優実さん
HuffPost Japan

職場などで、女性のみパンプスやヒールを履くよう義務付けられることに異議を唱える「#KuToo」運動。呼びかけ人の石川優実さんが12月3日、性別によって特定の服装を指示することに対して規制を求める要望書を厚生労働省に提出し、記者会見を開いた。

「ヒール付きパンプスは、業務に支障をきたすようなもの。女性だけが強制されている」と疑問を投げかけた石川さん。「同じ労働者であるならば、同じ労働環境で働く権利があるということをわかってほしいと思っています」と訴えた。

 

要望書で何を求めているのか

厚労省は現在、「ハラスメント防止法(改正労働施策総合推進法)」が2020年に施行されることを受け、ハラスメントの定義や具体例を示す指針について審議している。

石川さんは2019年6月に、ヒールを履くよう指示することは性差別やハラスメントにあたるとして、約1万9000筆の賛同者の署名とともに法規制を求める要望書を提出していた。

しかし、10月21日に厚労省が示した指針案には服装規定に関する記述がなかった。

こうした事態にショックを受け、指針が正式に決まる前に、改めて要望書を提出することを決めたという。

石川さんが厚労省に対して求めているのは、以下の3点だ。

  • ハラスメント防止法の指針に、ヒール付きの靴など、男女どちらかの性別に対して業務上必要のない特定の服装を義務付けることは「ハラスメント」に該当すると明記すること
  • 今後の施策で、一方の性別にのみ特定の外見・服装などを指示することは性別に基づく差別として禁止すること
  • 就職活動に関わる企業や教育機関が、就活にはヒール付きの履物の着用が必要であるなどの偏った情報を提供せず、また、性表現の多様性に配慮した情報発信をするよう注意喚起すること

石川さんは、「実際に怪我をしている人がいるので、緊急性が高いこと」と訴える。

会見では、#KuTooに共鳴した女性たちも登壇した。

講師として働いた経験をもつ女性は、スカートスーツを着用し、3cm以上のパンプスを履くことを求められたという。また、大学や過去のアルバイト先で、メイクをするようプレッシャーをかけられたという女性も自身の経験を語った。

就職活動中の体験談を寄せた女性のメッセージも読み上げられた。

「大したことはないと思われがちかもしれませんが、(ヒールの強要で)人生が変わってしまう人がいるということをわかってほしい」と石川さんは話す。

就活セクハラの件も問題になっていますが、とても立場の弱い人たちです。『私は履かない』と言って、履かないことを選べるような状況ではないんだと思います」

そういう人たちのことを考えてほしいと話し、厚労省のさらなる対応と活動への賛同、協力を呼びかけた。

 

「これは女性差別の問題」

#KuTooムーブメントが始まって1年弱。

石川さんは一貫して「これは女性差別の問題だ」と訴えてきた。職場の不条理なドレスコードは男性にも存在するが、健康を害するような“マナー“を押し付けられるのは女性が多いという思いからだ。

履きたい靴を自由に選べることを求めており、ヒールを否定しているわけではない、とも語る。

この日の会見でも、石川さんは#KuTooについて「同じ労働者であるならば、同じ労働環境で働く権利があるということをわかってほしいと思っています」と強調した。

石川さんには、さまざまな形で男女から「MeToo」の反応が届くという。

例えば、女性からは、化粧、メガネ、ストッキング、タイトスカート。男性からは「ネクタイやスーツの着用は窮屈」との声や「女性と比べてアクセサリーや髪のカラーやスタイルの自由度が低い」といった声も寄せられる。

会見で、石川さんは「男女とも職場で必要のないドレスコードはなくすように、となればいいと思う」と語る。

そのうえで、「ヒール付きパンプスは、業務に支障をきたすようなもの。女性だけが、そういう足に悪いものを義務付けられているのに、男性も女性も評価は同じようにされる。それは女性差別の問題で、それをなかったことにしないでほしい」と話した。

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会見には多数のメディアが集まった。
Kasane Nakamura / HuffPost Japan

 

海外メディアの反応は

海外メディアは、#KuTooムーブメントを明確にジェンダーの問題として捉えている。

石川さんは、BBCが選ぶ世界の人々に影響を与えた2019年の「100人の女性」にも選ばれた。

会見には、AFP通信やロイター通信を始め、海外メディアも参加した。

ロイター通信の記者は「(女性への)メガネ禁止も#KuTooと同じ問題ではないか?根本にあるのは“らしさ”の押し付けではないか」と質問。

石川さんは「そう思います。ヒールから始まった問題で、分かりやすい言葉ができたので、#KuTooという形になったけれど、根本的な問題は、性別に基づいて、片方の性別にのみ“らしさ”を押し付けることで、それは女性差別だと思います」と強調した。

石川さんに密着取材をしていた韓国メディアの記者は、「この1年でメディアの反応は変わったか」と質問した。

石川さんは「海外のメディアは#KuTooをジェンダーの問題として取り上げ、私のことも『フェミニストの石川さんに』と取材を申し込んでくれた。でも日本のメディア、特にテレビでは、この問題を女性差別の問題だと直視していないように思う」と指摘。

「これは女性差別の問題ではないという意見も多いけれど、実際にヒールを強制されているのは女性だけのはず。簡単に否定しないでほしい」と訴えた。

質問した韓国メディアのディレクターは、「韓国では就職活動で決まった服装を押し付けることはない。みんなが同じ格好をしている日本の就活は異様に感じるし、女性だけがヒールを強要されるのはジェンダーの問題だと認識している」と語っていた。

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「#KuToo」を発信する石川優実さん、自身の経験を語った名倉マミさん
HuffPost Japan