8月25日に自殺した青森市内の女子中学生、葛西りまさんを撮影した写真が最高賞「黒石市長賞」の授与の内定を取り消された問題で、黒石市の高樋憲市長は10月19日、方針を撤回して同賞を贈ると発表した。NHKニュースなどが報じた。
コンテストで最高賞に内定したものの、その後取り消された葛西りまさんの写真。8月15日に撮影された(遺族提供、一部画像処理をしてあります)
この写真は夏祭りをテーマとした「黒石よされ写真コンテスト」に応募されたもので、津軽手踊りを舞う少女を青森市内の男性が8月15日に撮影した。
最高賞の黒石市長賞に内定したことが撮影者に通知された後で被写体の少女が、その10日後に自殺した浪岡中学校2年の葛西さんだったことが判明した。
東奥日報によると、コンテストを主催する黒石よされ実行委員会は、撮影者や遺族に事情を説明し、授賞や写真公表の快諾を得ていた。しかし、10月13日夜、実行委の担当者や審査員らの再協議の結果、内定取り消しを決めた。黒石市の高樋市長も14日、実行委に「多くの人に祭りを知ってもらうという賞の趣旨になじまない」と伝達していたという。
遺族は「娘の願いを伝えたい」として氏名を明かした上で、受賞の内定を撤回された公表した。これが報じられると、コンテストを主催した黒石よされ実行委員会の事務局となっている黒石観光協会などに対し、抗議のファクス、電子メールが全国から数多く寄せられていた。
■葛西さんの遺族「対応には納得できない」
高樋市長は19日の会見で、「生徒に配慮して取り消しをしたが、氏名や写真などが公表されたことから、応募者とご遺族のご了承を得たうえで改めて市長賞を授与させていただきたい。慎重さを欠く部分があり家族に深くおわび申し上げます」と述べたという。
共同通信によると葛西さんの遺族は「授賞を取り消した理由の説明が二転三転した。対応には納得できない」と話している。