黒田から大谷へ8球の「伝言」 最後の日本シリーズ終幕
プロ野球・日本シリーズは日本ハムの10年ぶりの日本一で終わった。投手と打者の「二刀流」を極めようとする日本ハムの大谷翔平選手と、現役引退を表明して臨んだ広島・黒田博樹投手。22歳と41歳には、言葉を交わさない野球のプレーを通しての会話があった。
「アスリートとして次元が違う。自分の中でもショックで、なかなか出会うことはない」。29日の試合後、黒田は大谷について問われ、そう答えた。2人はともに、第7戦までもつれた時は先発が見込まれていた。直接対戦したのは札幌ドームでの第3戦。黒田が先発、大谷が3番・指名打者だった。
3打席、計8球。二塁打2本を放った大谷には、安打よりうれしかったことがある。「ほぼ全球種、打席で見られた。間合いだったり、ボールの軌道だったり。勉強になりました」。2人だけの空間で繰り広げられた駆け引きを、すがすがしい表情で振り返った。
高校時代から大リーグを目標に据える大谷には、ドジャース、ヤンキースで5年連続2桁勝利を挙げた黒田は憧れだ。投球術の細部が記された黒田の著書、「クオリティピッチング」は愛読書の一つ。日本ハムの栗山監督は第3戦でのベテランの投球に、「何かメッセージを送ってくれたと思う」と感じ取った。
(朝日新聞デジタル 2016年10月30日 08時33分)
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