アフガニスタンの病院空爆、国境なき医師団の看護師が恐怖の瞬間を語る「ベッドごと患者が焼かれ...」

炎上する病室を見たジェクさんは、筆舌に尽くしがたい瞬間だったと語った。

アフガニスタン北部クンドゥズの病院が10月3日、アメリカ軍主導の国際部隊の空爆を受け計23人が死亡した事件で、病院を運営する国際医療NGO「国境なき医師団」(MSF)の看護師が、長時間に及んだ空爆について「とても恐ろしかった」と証言した。事件では、MSFの医療スタッフ13人と、3人の子供を含む患者10人が死亡した。

MSFの男性看護師ラヨシュ・ゾルタン・イエッチさんは3日未明、クンドゥズの病院内にいた。空爆で現場はベッドごと焼かれた患者と重傷を負った医療スタッフたちが混乱と恐怖に包まれた。空爆を目撃したイエッチさんはMSFのウェブサイトにコメントを寄せ、ある医師は手術台の上で死亡したと振り返った。

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クンドゥズの病院で空爆を受けて負傷したスタッフ(Photo by MSF/Pool/Anadolu Agency/Getty Images)

炎上する病室を見たイエッチさんは、筆舌に尽くしがたい瞬間だったと語った。「この恐怖を言い表す言葉がありません。集中治療室ではベッドの上で6人の患者が焼かれてしまいました」

イエッチさんは病院の仮眠室で睡眠をとっていた。午前2時ごろ、近くで爆撃音がとどろき、目が覚めた。

「1週間以上前に私たちは爆撃音を聞きましたが、いつも病院から離れていました。今回は違いました。すぐ近くで、大きな爆撃音でした」

医療スタッフが何が起きたのか把握しようとしたとき、さらに爆弾が降りかかってきた。その2、30分後にイエッチさんは誰かが自分の名前を読んでいるのが聞こえた。緊急医療室の看護師は「とてつもないトラウマを抱えて」よろめき、イエッチさんの腕の中で倒れた。

「彼は血まみれでした。全身が傷ついていたのです」とイエッチさんは語った。

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国境なき医師団のスタッフが空爆後行われた手術を見守る(Photo by MSF/Pool/Anadolu Agency/Getty Images)

医療スタッフは被害の様子を調べ、負傷しなかった同僚を探した。イエッチさんによると、調剤室のオフィスには負傷して泣き叫ぶ患者が至るところにいたという。

「現場全体が非常に苛酷なものでした。瀕死の同僚も見ました」とイエッチさんは語った。「大人の男性も、友人も、こらえきれずに泣き出しました。大変なことです」

「今朝からずっと、これは絶対に許されることではない、と思い続けています」とイエッチさんは最後に述べた。「どうなったらこんなことが起きてしまうのか? こんなことが起きて何のメリットがあるのか? 何もしていないのに病院が破壊され、多くの命が奪われました。言葉が見つかりません」

MSFは4日午後、クンドゥズから撤退すると表明した。

アメリカのオバマ大統領は3日声明を発表し、哀悼の意を表明すると同時に国防総省が徹底的に調査することを約束した。しかしMSFのクリストファー・ストークス事務局長は4日の声明で国際機関による独立した調査を求めた。

「紛争当事国による内部調査だけに委ねるのは全く不十分だ」とストークス事務局長は述べた。

ザイド・ラード・アル・フセイン国連難民高等弁務官は3日の声明で今回の空爆を「到底許しがたい悲惨な出来事であり、弁解の余地がなく、犯罪的ですらある」と述べた。

「今回の出来事が深刻なのは、病院が法廷のように静寂な場所に設置されても空爆を受けてしまうのは戦争犯罪の可能性すらある、ということだ」とフセイン氏は述べた。

MSFは、病院の入口を終日閉鎖し、空爆が行われている間スタッフ、患者、介護者以外の人間は出入り禁止にした。

「どんな場合でも、完全に機能している病院への爆撃は絶対に正当化されない」と、MSFは声明で述べている。

3日のクンドゥズへの空爆は、今回が初めてではない。この街はこれまでも大規模な誤爆に苦しめられてきた。アフガニスタン戦争が続く中、2009年には大西洋条約機構(NATO)指揮下に会ったドイツ軍がクンドゥズで民間人を誤爆した。この爆撃は後に"空爆の失敗"とされたが、およそ100人の民間人を含む170人以上が死亡した。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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