4月14日に熊本県を襲い、今なお続く一連の地震によって自動車業界も影響を受けており、特にトヨタへの影響が大きくなっている。同社では、部品の供給が滞ったことから日本国内にある多くの工場の稼働停止を余儀なくされ、4月18日から23日まで、国内における完成車組み立てラインの稼働を段階的に停止すると発表した(追記:20日には週明けの25日から段階的に再開することが発表された)。
米国の自動車メディア『Automotive News』によると、今回の稼働停止によって影響を受けているのは広範な車種にわたり、トヨタ「プリウス」、「MIRAI」、「RAV4」、「4Runner」、「ランドクルーザー」、レクサス「ES」、「LS」、「IS」、「GS」、「RC」、「NX」、「RX」、「GX」、「LX」といった米国でも人気の車種も含まれる。現在も日本国内で稼動している工場では、日野のトラック、ダイハツの各車種、そしてトヨタ「センチュリー」リムジンの生産が続けられている。
トヨタは、今回の稼働停止から米国で車両供給不足に陥るかどうかについては、現段階では判断できないとしている。北米トヨタ広報担当のアーロン・ファウルズ氏は米国版Autoblogの問い合わせに対し「ご承知の通り、現在当社は状況を見極めている段階で、詳しい情報収集に努めている。
4月18日から23日にかけて、日本国内のほとんどの工場における完成組み立てラインの稼働を段階的に停止することははっきりしているが、それ以降も稼働停止を継続するかどうかは未定である。また、米国における在庫や販売台数に対する影響についても現在調査中だ」と述べ、近日中に詳細を発表できるだろうと続けた。
さらに『Automotive News』が伝えたところでは、今回の稼働停止の影響を受けている工場の多くは熊本県内にあるわけではなく、部品を供給するサプライヤーが同県内に工場を構えているのだという。例えば、部品メーカーのアイシン精機や半導体大手のルネサス エレクトロニクスの各子会社の工場が被災地にあり、操業停止に陥っている。
英字新聞『The Japan Times』によると、地震の影響を受けた自動車メーカーはトヨタだけではない。日産は福岡にある子会社の工場を一時操業停止し(週明けの月曜には再開)、ホンダも熊本のオートバイ工場の稼動を今週金曜まで停止している。三菱でも部品調達が滞ったため、岡山にある水島製作所の生産ラインが操業停止に追い込まれたという。
Autoblogの取材に対し、北米三菱広報のアレックス・フェドラック氏は「水島製作所に部品を調達するサプライヤーの工場が被災したが、この工場から調達しているのは軽自動車のエンジン部品のみで、これに伴い軽自動車の生産ラインが一時的に稼働停止した。しかし、同製作所ではランサーとi-MiEvの生産も行っており、これらの車種については生産ラインへの影響はなく、順調に稼働している」と述べている。
熊本市周辺では、4月14日にはマグニチュード6.4、16日にはマグニチュード7.3という2回の大地震に見舞われた。県と警察の発表によると、地震による死者の数は48人、非難生活による身体への負担や病気など、地震の影響で亡くなったと思われる人が11人に上り、合わせて59人が亡くなったという。さらに行方不明者2人の捜索が今も続けられている。また、少なくとも11万人の人々が依然として避難生活を送っているという。
by Chris Bruce
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年4月21日Autoblog日本版「熊本地震、日本の自動車業界に影響 トヨタとレクサスは工場閉鎖で大打撃
」より転載)
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