全国で唯一、特定危険指定暴力団に指定されている北九州市の暴力団、工藤会のナンバー2にあたる会長の田上不美夫容疑者(58)が、1998年に同市で起きた漁協の元組合長射殺事件に関与したとして、福岡県警は9月13日、殺人などの疑いで田上容疑者を逮捕した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
事件をめぐっては、工藤会トップで総裁の野村悟容疑者(67)が11日、同じ容疑で県警に逮捕されている。
田上容疑者は、98年2月18日に北九州市小倉北区で起きた脇之浦漁協(同市若松区)の元組合長、梶原国弘さん(当時70)射殺事件に関与した疑いがもたれている。
(朝日新聞デジタル「工藤会ナンバー2の田上容疑者を逮捕 福岡県警に出頭」より 2014/09/13 16:00)
福岡県警は11日に田上容疑者を殺人などの疑いで指名手配し、写真を公開。さらに、3800人体制の特別捜査本部を設置した。警察庁も12日に特別手配し、全国の警察に追跡捜査の徹底を指示していた。
事件では実行犯ら4人が2002年6月に逮捕され、うち2人の実刑が確定。判決では、港湾土木事業に影響力を持つ梶原さんが暴力団の介入を断ったことへの報復と認定された。
また、事件に関連して、2013年から2014年にかけて、元組合長の弟が拳銃で射殺されるなど、被害者の親族を狙った事件が相次いでおり、福岡県警は、工藤会との関連がないかについても捜査を進めることにしている。
■アメリカは「最も暴力的な組織」と指摘
MSN産経ニュースによると、工藤会は、みかじめ料を断る一般市民らにも平気で銃撃や手榴弾を投げ込み、容赦ない攻撃を加えてきた九州最大規模の暴力団だ。極めて強い好戦傾向を有するとされ、暴力団排除を進める警察と激しく対立してきた。コトバンクは次の通り説明している。
北九州市に本拠を置く、九州最大規模の指定暴力団。福岡県警によると、昨年末時点の構成員は約560人(県外勢力を含む)。「特定危険指定暴力団」に指定され、組員がみかじめ料などの不当な要求をすると、中止命令がなくても逮捕できるようになった。米財務省は今年7月、工藤会と最高幹部2人の米国内の資産凍結などの金融制裁を発表。日本の暴力団について「6万人近い規模を持つ世界最大の犯罪組織」とし、工藤会について「最も暴力的な組織」と指摘した。
(コトバンク「工藤会」より)