口永良部島の避難者、一時帰島へ 消防団員ら1日にも
鹿児島県屋久島町の荒木耕治町長は31日の記者会見で、口永良部(くちのえらぶ)島(同町)の新岳(しんだけ)の噴火を受けて屋久島に避難している住民の一部を、近く一時帰島させる意向を示した。天候次第で、6月1日にも実施する方針。防火防犯対策を主目的に、地元の消防団員らが一時的に帰島する見通しだ。
屋久島への避難者は31日午後2時現在64人。噴火当時、島にいた島民の約半数が避難所で生活している。家畜の世話や残してきたペット、自宅の戸締まりや電化製品の電源などを心配している人などもおり、避難の長期化が懸念されるなか、島民からは一時帰島の要望が出ていた。
一時帰島する人は消防団員などで、30人程度になる見込み。宮之浦公民館に避難している湯向(ゆむぎ)地区の水本勝夫さん(77)は「私も行きたいが、若い人たちに任せたい」と話した。
現在の噴火警戒レベルは、避難が必要な最大の「5」。一時帰島について、荒木町長はこれまで「噴火警戒レベルが下がってから検討するべきだ」としてきた。福岡管区気象台火山監視・情報センター(福岡市)は「数日以内に噴火警戒レベルを下げる予定はない」としているが、荒木町長は「住民の強い要望に応えていく」との考えだ。
また荒木町長は、町内の公民館や福祉施設などの避難先3カ所を公営住宅や民宿などに変更する方針も表明。滞在環境を改善する必要があると判断した。日程については「今週いっぱいがめど」としている。
避難先については伊藤祐一郎知事も30日、既存の公的住宅などの活用に言及していた。一人暮らしの高齢者らに関しては町費で民宿を手配することも町は検討している。町の調査に町内の民宿16軒が「対応可能」と回答したという。
一方、荒木町長は31日、避難所にいる児童・生徒らに文房具を届けた。屋久島の小中学校で受け入れが決まっていた口永良部島の児童・生徒計14人は6月1日から通学を始める予定。ほかに屋久島へ避難してきた児童・生徒2人は鹿児島市内に移ったという。
■新岳に新たに地震計
気象庁は31日、爆発的な噴火があった鹿児島県の口永良部(くちのえらぶ)島の新岳に、地震計1台を新たに設置すると発表した。さらに噴火活動が高まり、今ある地震計が使えなくなった場合に備えるため。1日にも設置する。
同庁によると、新たな地震計は火口から約4キロのヘリポートに設置し、太陽電池パネルで電力を供給しながら観測する。島には気象庁や大学などの地震計が計15台あるが、火口付近のものは昨夏の噴火以降、使えなくなるなど、現在は6台しか観測できないという。
火山性地震は30日は5回、31日も午後3時までに6回を観測した。同庁は、新岳の火山活動は高まった状態が続いているとみている。
(2015年5月31日22時39分)
関連記事